実家を相続したらまず何から?相続後すぐにやるべき9つの手続きを期限順に解説
親の死後、実家を相続したらまず何から手を付ければいいか。死亡届の7日以内から相続登記の3年以内、3000万円特別控除の期限まで、官公庁の一次情報に基づき期限順にまとめました。
葬儀が終わって、少し落ち着いたころに必ず来るのが「実家、これからどうしよう」という重い問いです。
相続の手続きは、実は期限がついているものがほとんどで、見落とすと最大10万円以下の過料や、本来3,000万円控除できたはずの税金がそのまま課税されるなど、何百万円単位の損失につながることがあります。
この記事では、親の実家を相続したときに死亡日から3年以内に必ず通る9つの手続きを期限順に整理し、各官公庁の一次情報を出典つきで解説します。読み終わったら、自分のケースで「実家をどうするか(売る・貸す・住む・壊す)」の検討に進めるよう、4つの選択肢の比較表もあわせて掲載しました。
【一覧】相続後にやるべき手続き — 期限順タイムライン
まず全体像です。死亡日を起点に、各手続きの期限を一覧化しました。
| 期限 | 手続き | 主な相談先 |
|---|---|---|
| 7日以内 | 死亡届の提出 | 市区町村役場 |
| 14日以内 | 国民健康保険・後期高齢者医療の資格喪失届 | 市区町村役場 |
| 14日以内 | 国民年金の受給停止(厚生年金は10日以内) | 年金事務所 |
| 3か月以内 | 相続放棄・限定承認の申述 | 家庭裁判所・司法書士・弁護士 |
| 4か月以内 | 準確定申告(被相続人の所得税) | 税務署・税理士 |
| 10か月以内 | 相続税の申告・納付 | 税務署・税理士 |
| 3年以内 | 相続登記(2024年4月義務化) | 法務局・司法書士 |
| 譲渡日が属する年の翌年3月15日まで | 3,000万円特別控除(相続空き家特例)の確定申告 | 税務署・税理士 |
※ 上記は被相続人が日本国内に住所を有する個人で、原則的なケースを想定したものです。海外居住者や事業承継、特殊な財産構成(株式・暗号資産・連帯保証など)が含まれる場合は、早めに税理士・司法書士・弁護士などの有資格者へご相談ください。
期限を過ぎた場合の主なリスクは次のとおりです。
- 相続放棄を3か月で行わないと、借金もすべて引き継ぐ「単純承認」とみなされる可能性があります(民法921条)
- 相続税申告10か月を過ぎると、加算税・延滞税が課されます(国税庁)
- 相続登記3年を正当な理由なく超えると、10万円以下の過料が科される場合があります(不動産登記法76条の2)
それでは、各手続きを順に見ていきます。
1.【7日以内】死亡届と火葬許可
最初の手続きは、医師から受け取った死亡診断書を添えて、市区町村役場に死亡届を提出することです(戸籍法86条)。
- 提出先:被相続人の本籍地・死亡地・届出人の所在地のいずれかの市区町村役場
- 期限:死亡を知った日から7日以内
- 同時に行うこと:火葬許可申請。許可証が出ないと火葬ができません
この段階の手続きは葬儀社が代行してくれることがほとんどです。葬儀の段取りに追われがちですが、死亡診断書のコピーは複数枚取っておくと、後の年金停止や保険金請求でそのつど原本を求められたときに楽になります。
2.【14日以内】健康保険・年金の停止
亡くなった方の健康保険と年金は、放っておくと過誤払いが発生して後で返還を求められます。早めに止めておきましょう。
- 国民健康保険・後期高齢者医療:死亡日から14日以内に資格喪失届を市区町村役場へ
- 国民年金:14日以内に「受給権者死亡届」を年金事務所へ
- 厚生年金:10日以内に同様の届出
詳細は日本年金機構の案内ページで確認できます。
このとき同時に、葬祭費(国民健康保険・後期高齢者医療)や埋葬料(協会けんぽ・健保組合)として、概ね5万円前後の給付を請求できることが多いので、忘れずに窓口で確認してください(具体的な金額は自治体・健保組合によって異なります)。
3. 遺言書の確認 — 検認が必要なケース
相続人を確定する前に、遺言書がないか必ず確認します。遺言書の有無で、その後の遺産分割の進め方が大きく変わります。
| 遺言書の種類 | 家庭裁判所の検認 | 備考 |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言(自宅・銀行貸金庫などで保管) | 必要(民法1004条) | 開封せずに家裁へ |
| 自筆証書遺言(法務局の保管制度を使ったもの) | 不要 | 法務省の保管制度で確認可能 |
| 公正証書遺言 | 不要 | 最寄りの公証役場で全国検索可能 |
| 秘密証書遺言 | 必要 | 利用例は少ない |
検認前に開封すると最大5万円の過料(民法1005条「五万円以下の過料」)が科されることがあるので、自宅などで遺言書を見つけても、その場で開けずに家庭裁判所へ持参してください。手続きの詳細は裁判所「遺言書の検認」に掲載されています。
4. 相続人の確定 — 戸籍を辿る
遺言書がない、あるいは遺言書で全財産が指定されていない場合、誰が相続人になるかを戸籍で確定する必要があります。
具体的には、被相続人の出生から死亡までの全戸籍を本籍地の市区町村役場で取り寄せます。途中で本籍地を移している場合は、移った先すべての役場に取り寄せる必要があり、これだけで数週間かかることもあります。
法定相続人の範囲は民法887条〜890条で定められています。配偶者は常に相続人で、それ以外は次の順位です。
- 第一順位:子(亡くなっていれば孫)
- 第二順位:直系尊属(父母など)
- 第三順位:兄弟姉妹(亡くなっていれば甥姪)
2017年5月から始まった法定相続情報証明制度(法務省)を利用すると、最初に戸籍一式を法務局に持ち込んで「法定相続情報一覧図」を発行してもらえば、その後の銀行・登記・税申告で何度も戸籍を出さずに済みます。手続きが多い場合は早めの利用をおすすめします。
5.【3か月以内】相続放棄・限定承認の判断
相続放棄をするかどうかは、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に決めなければなりません(民法915条)。
- 提出先:被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
- 手続き:「相続放棄の申述」を行う(裁判所のページ)
相続放棄を検討すべき主なケースは次のとおりです。
- 借金や連帯保証が多い:実家の価値以上の負債がある場合
- 不動産に重大な瑕疵がある:再建築不可、土壌汚染、共有名義のトラブルなど
- 遠方で管理できず、固定資産税だけが続く
注意したいのは、相続財産を一部でも処分(売却・解約・廃棄)すると「単純承認」とみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があることです(民法921条)。家財の片付けや預金の解約も、放棄を考えているうちは慎重に進めてください。
判断に迷うケースは多いので、3か月の期限が来る前に司法書士や弁護士に相談するのが安全です。
6.【4か月以内】準確定申告
被相続人がその年の1月1日から死亡日までに得た所得は、相続人が代わりに確定申告(準確定申告)する必要があります。
- 期限:相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内
- 詳細:国税庁 タックスアンサー No.2022
給与所得のみで源泉徴収が完結している会社員のケースなど、申告不要なこともありますが、事業所得・不動産所得・年金以外の所得・医療費控除がある場合は申告した方が有利になることが多いです。
7. 遺産分割協議
法律上、遺産分割協議そのものに期限はありません。ただし、相続税申告(10か月以内)までに分割を終わらせることが実務上の理想です。
期限内に協議が整わない場合は、いったん法定相続分で「未分割」のまま相続税を申告し、その後3年以内に協議をまとめれば、修正申告で小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を遡って適用できます(国税庁)。
協議には全相続人の合意と署名・実印が必要です。一人でも反対する人がいれば成立しません。揉めそうなときは、家庭裁判所の遺産分割調停を申し立てるか、早めに弁護士へ相談してください。
8.【10か月以内】相続税の申告・納付
相続税は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に申告・納付します(国税庁 No.4205)。
まず基礎控除を確認する
すべての相続で相続税がかかるわけではありません。次の基礎控除を超えなければ申告不要です。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
たとえば法定相続人が配偶者と子2人の合計3人なら、基礎控除は4,800万円。遺産総額がこれを下回れば、相続税の申告も納税も不要です。
押さえておきたい主な特例
- 小規模宅地等の特例(No.4124):被相続人の居住用宅地(330㎡まで)の評価額を最大80%減できます。同居親族や生計同一・別居の特例適用要件があり、判定が複雑なので税理士確認が必須レベルです
- 配偶者の税額軽減(No.4158):配偶者が取得する財産は、1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い方まで非課税です
納付は原則、現金一括です。資金繰りが厳しい場合は延納・物納の制度もありますが、要件が厳しいので早めに税理士へ。
9.【3年以内・2024年4月義務化】相続登記
2024年4月1日から、相続登記が法律上の義務になりました(不動産登記法76条の2)。
- 期限:不動産を取得したことを知った日から3年以内
- 遡及適用:施行日(2024年4月1日)より前に発生した相続にも適用。経過措置として、施行日(2024年4月1日)または不動産取得を知った日のいずれか遅い日から3年以内に申請が必要
- 正当な理由なく怠った場合:10万円以下の過料が科されることがあります
- 詳細:法務省「相続登記の申請が義務化されました」
遺産分割協議が長引いて3年以内に登記まで終わらないケースのために、簡易な代替手段として「相続人申告登記」も用意されています(同じ法務省ページに案内あり)。とりあえず申告登記だけ済ませておけば、過料リスクは回避できます。
申請先は、不動産の所在地を管轄する法務局です。書類が複雑なので、司法書士に依頼するのが一般的です(費用相場は5〜10万円程度)。
10. 期限ある税制特例 — 見落とし最大の罠
ここが、家じまいくんが最も伝えたい部分です。期限を過ぎると数百万円単位の節税機会を失う特例が複数あります。
相続空き家の3,000万円特別控除(措置法35条3項)
実家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる強力な特例です(国税庁 No.3306)。
- 期限:相続の開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却
- 主な要件:
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された旧耐震基準の建物
- 区分所有建物(マンション)以外
- 相続開始の直前まで被相続人が一人暮らしだった
- 相続後、売却までに貸付・事業に使っていない
- 一定の耐震基準を満たすか、取り壊して更地で売却している
- 譲渡対価が1億円以下
- 2024年改正:相続人が3人以上の場合、控除額は1人あたり2,000万円に縮小
要件は細かく、解釈ミスで適用できないリスクが高い特例です。検討される際は、必ず最新版のパンフレットを国税庁で確認のうえ、税理士の事前確認を受けることを強くおすすめします。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(措置法39条)
相続税申告期限の翌日から3年以内に売却した場合、相続税額の一部を譲渡所得の取得費に加算できる特例です(国税庁 No.3267)。3,000万円控除と併用できないなど制約はありますが、相続税が大きかったケースでは検討する価値があります。
実家をどうするか — 4つの選択肢の基本比較
ここまでの手続きと並行して、実家そのものをどうするかの方針も決めていく必要があります。基本となる4つの選択肢を、シンプルに比較します。
| 選択肢 | 主なメリット | 主なリスク・デメリット | こんな人に向く |
|---|---|---|---|
| 売る | 一括現金化/固定資産税が消える/相続人トラブルを解消しやすい | 買い手が付くまで時間がかかる/3,000万円特例は3年以内 | 遠方在住・相続人が複数・早期現金化を望む |
| 貸す | 家賃で固定資産税を相殺できる/資産として保有を継続/将来の売却余地を残せる | 空室・修繕リスク/賃借人トラブル/駅遠は客付けが難しい | 駅近・築浅・将来の売却余地を残したい |
| 住む | 小規模宅地等の特例で相続税が最大80%減/住居費がほぼゼロに | リフォーム費用/通勤距離・家族の合意/将来の売却が難しくなる | 地元で働く・家族の同意がある・住みやすい立地 |
| 壊す | 維持費がゼロに/更地は売りやすい場合が多い | 解体費100〜200万円/更地化で固定資産税が最大6倍になるリスク(特定空家指定の場合は同等のリスク) | 老朽化が深刻・買い手が付かない立地 |
どの選択肢が自分のケースに合うかは、立地・建物の状態・相続人の事情・資金繰りによって大きく変わります。「とりあえず売る」「とりあえず貸す」と直感で動く前に、4選択肢を横並びで比較することが、後悔のない意思決定の第一歩です。
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「家じまいくん」と専門家との役割分担
「最初の地図」となる本サービスは、専門家の代わりではなく、専門家に相談する前の整理ツールです。各専門家との役割分担を明確にしておきます。
| 家じまいくん | 不動産業者の査定 | 税理士 | 司法書士 | |
|---|---|---|---|---|
| 何を出してくれるか | 4選択肢の横断比較・期限アラート・30日アクションプラン | 売却額の試算(机上 or 訪問) | 相続税・譲渡所得税の正確な計算と申告 | 相続登記・遺産分割協議書の作成 |
| 得意なこと | 売却以外の選択肢も含めた意思決定の最初の整理 | 売却額そのものの精度 | 税額計算と特例適用の最終判断 | 登記・書類作成の確実な実行 |
| 苦手なこと | 個別の税務助言・登記代行・売却仲介 | 売る前提で来るので「売らない選択肢」は出ない | 不動産価格の相場感は弱い | 税額計算は範囲外 |
| 費用 | 無料診断+詳細レポート9,800円 | 無料(売却仲介報酬を後で取る) | 相続税申告で20〜100万円 | 相続登記で5〜10万円 |
| 使うタイミング | 相続直後・すべての専門家相談の前 | 売却を決めた後 | 相続税が発生しそうな場合(10か月以内) | 相続登記の段階(3年以内) |
家じまいくんの位置付けは、**「業者・税理士・司法書士に相談に行く前の、最初の整理」**です。意思決定の方向性を自分で持ったうえで専門家に会いに行くと、相談の中身が一気に深まります。
よくある質問
Q. どの専門家にいつ相談すればいいですか?
期限の近いものから順に整理すると、次のとおりです。
- 借金が多そう・相続放棄を検討 → 司法書士・弁護士(3か月以内)
- 相続税が発生しそう → 税理士(10か月以内・できれば早めに)
- 兄弟で揉めそう・調停に発展しそう → 弁護士
- 相続登記 → 司法書士(3年以内)
- 売却 → 不動産業者・宅地建物取引士
Q. 兄弟で意見が割れたらどうすればいい?
まずは家庭裁判所の遺産分割調停を検討してください。話し合いが調わない場合は審判手続きに移行します。早い段階で家じまいくんの4選択肢比較レポートのような中立的なたたき台を共有すると、議論の入り口が揃って合意形成が進みやすくなります。
Q. 期限を過ぎたら何が起きますか?
代表的なものをまとめると次のとおりです。
- 相続放棄3か月:単純承認したものとみなされ、借金もすべて承継する可能性
- 準確定申告4か月/相続税10か月:加算税・延滞税
- 相続登記3年:10万円以下の過料
期限が迫っているもの、すでに過ぎたものがあれば、今すぐ専門家に相談してください。期限超過後でも対処の選択肢は残っていることが多いです。
Q. 実家が遠方にあります。手続きは進められますか?
はい。多くの手続きは郵送やオンラインで可能ですし、相続人申告登記(3年義務化対策)も簡易な書類で済みます。家じまいくんの診断も住所を入力いただくだけで、周辺の取引事例・公示地価・駅距離・ハザード情報をAIが自動取得しますので、現地訪問は不要です。
まとめ — 期限つき手続きの全体像が見えたら、次の一歩へ
相続の手続きは、期限の近いものから順に処理することで全体が前に進みます。あらためて期限順に並べ直すと次のとおりです。
- 7日以内:死亡届
- 14日以内:健康保険・年金の停止
- 3か月以内:相続放棄の判断
- 4か月以内:準確定申告
- 10か月以内:相続税申告
- 3年以内:相続登記(2024年義務化)
- 譲渡日が属する年の翌年3月15日まで:3,000万円特別控除の確定申告
これらと並行して、実家そのものを「売る・貸す・住む・壊す」のどれにするかの方針を決めていく必要があります。家じまいくんは、その意思決定の最初の整理を担うツールです。
「業者に査定を頼む前に、まず4選択肢を横並びで比較したい」という方は、ぜひ無料診断をお試しください。立地・築年数・相続人の事情を入力いただければ、5分で最有力の選択肢と期限アラートをご提示します。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、 税務・法務・不動産取引に関する個別具体的な助言を行うものではありません。 個別のご事情に応じた判断は、税理士・司法書士・弁護士・宅地建物取引士等の有資格者にご相談ください。 また、法令・通達は本記事公開後に改正される可能性があります。最新情報は各官公庁のWebサイトをご確認ください。
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