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自分でできる相続登記 完全ガイド|必要書類11点・登録免許税の計算・オンライン申請まで 2026年版

2024年4月から義務化された相続登記を「自分で申請する」場合の手順を、法務局の公式書式と不動産登記法に基づき完全整理。必要書類11点のチェックリスト・登録免許税0.4%の計算式・登記・供託オンライン申請システムの使い方・司法書士へ依頼すべきケースの判断軸まで網羅。

「相続登記、自分でできるって聞いたけど、何を集めて、どこに持って行けばいいんだっけ?」「司法書士に頼むと10万円超かかるらしいけど、自分でやれば本当に節約できる?」

2024年4月の相続登記義務化以降、自分で申請を検討する方が急増しています。結論から言えば、物件が1〜2件・相続関係がシンプルなら、自分で申請可能です。ただし数次相続・代襲相続・共有名義が絡む場合は司法書士依頼が現実的になります。

この記事では、法務省の公式書式と不動産登記法の条文に基づき、必要書類11点のチェックリスト・登録免許税の計算式・登記・供託オンライン申請システムの使い方・自分でやる場合と司法書士に依頼する場合の判断軸を整理しました。読み終わったら、自分のケースで「自分でできるか/司法書士に依頼すべきか」が判断でき、自分でやる場合の最初の一歩が踏み出せる状態になります。

【30秒サマリ】相続登記 自分でやる場合の全体像

詳細に入る前に、まず全体像を整理します。

  • 法的根拠:不動産登記法76条の2(2024年4月1日施行・3年以内義務化)
  • 必要書類:戸籍・住民票・固定資産評価証明書・遺産分割協議書 等 11点
  • 費用:登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)+ 実費数千円〜数万円
  • 申請先:不動産所在地を管轄する法務局(地方法務局・支局・出張所)
  • 方法:①窓口提出、②郵送提出、③オンライン申請(登記・供託オンライン申請システム)
  • 所要時間:書類収集に1〜3ヶ月、申請から完了まで1〜3週間
  • 自分でやる場合の節約額:司法書士報酬5〜15万円が浮く

シンプルケース(物件1件・法定相続人少数・遺言なし)なら 自分でやる選択肢が現実的です。難しい要素が3つ以上重なる場合は司法書士依頼を推奨します。

相続登記の全体フロー

自分で申請する場合の流れは次の8ステップです。

  1. 相続関係の確定 — 被相続人の出生〜死亡の戸籍を収集し、法定相続人を確定する
  2. 不動産の特定 — 固定資産税の納税通知書・名寄帳・登記簿謄本で物件情報を確認
  3. 遺産分割協議 — 相続人全員で誰がどの不動産を相続するか合意(遺言書がある場合は不要)
  4. 必要書類の収集 — 戸籍・住民票・固定資産評価証明書・印鑑証明書 等
  5. 登記申請書の作成 — 法務省の様式に従って記入
  6. 登録免許税の納付準備 — 評価額×0.4%を計算し、収入印紙等で納付
  7. 法務局へ提出 — 窓口・郵送・オンラインのいずれか
  8. 登記完了 — 申請から1〜3週間で登記識別情報通知が交付される

それぞれの詳細を、次のセクションで一次情報に基づき解説します。

必要書類11点 完全チェックリスト

法務局の公式書式・運用に基づき、相続登記に通常必要となる書類は以下の通りです。ケースごとに不要な書類もあるため、自分のケースに合わせて取捨選択してください。

1. 被相続人の出生〜死亡までの戸籍謄本(除籍・改製原戸籍を含む)

被相続人の出生から死亡まで、本籍を移動したすべての戸籍を時系列で集めます。古い戸籍は手書きで読みづらいことが多く、これが収集の最大の難所です。

取得先は本籍地の市区町村役場。郵送請求も可能で、定額小為替(450円〜750円が中心)と返信用封筒・身分証明書のコピーを同封します。家じまいくんの地域別ページでは各市町村役所の窓口情報が確認できます。

2. 被相続人の住民票除票(または戸籍の附票)

被相続人の最後の住所を証明する書類です。登記簿上の住所と被相続人の最後の住所が一致しない場合は、住所変更の経緯がわかる「戸籍の附票」が必要になります。

3. 相続人全員の現在戸籍謄本

法定相続人それぞれの現在戸籍を1通ずつ取得します。被相続人と同じ戸籍に入っている場合は1通で足ります。

4. 相続人全員の住民票

不動産を取得する相続人については登記簿に住所が記載されるため必須。それ以外の相続人については、ケースにより不要な場合があります。

5. 不動産の固定資産税評価証明書

不動産所在地の市区町村役場の資産税課で取得します。登録免許税の計算根拠として必須です。当年度の評価証明書(多くは4月以降発行)を取得してください。

6. 不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)

法務局で取得します(オンライン取得も可・1通600円)。物件の地番・家屋番号・現在の所有者を確認するためです。

7. 遺産分割協議書(または遺言書)

遺言書がない場合は、相続人全員の署名・実印・印鑑証明書付きの遺産分割協議書が必要です。「誰が・どの不動産を・どれだけ取得するか」を明記します。

遺言書がある場合は、自筆証書遺言なら家庭裁判所の「検認済証明書」(法務局保管制度利用なら不要)、公正証書遺言なら正本/謄本が必要です。

8. 相続人全員の印鑑証明書

遺産分割協議書に押した実印に対応する印鑑証明書を、相続人全員分を取得します。市区町村役場で取得(300円程度)。

9. 登記申請書

法務省の公式様式(法務省「不動産登記の申請書様式について」)を使用します。「20)所有権移転登記申請書(相続・法定相続)」「21)所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)」等、ケースに合った様式を選びます。

10. 相続関係説明図

被相続人と相続人の関係を一覧にした図です。これを添付すると、提出した戸籍謄本の原本還付(返却)が受けられるため、実務的にほぼ必須となります。

法務省「法定相続情報証明制度」を利用すると、法定相続情報一覧図を無料で作成・交付してもらえます。複数の金融機関・不動産で並行手続きする場合は一覧図の活用が効率的です。

11. 委任状(代理申請時のみ)

司法書士や家族の誰かに代理申請を依頼する場合に必要です。自分で申請する場合は不要です。

11点まとめ表

# 書類 取得先 費用目安
1 被相続人 出生〜死亡の戸籍 本籍地の市区町村 1通450〜750円 × 複数通
2 被相続人 住民票除票/戸籍附票 最終住所地 300円
3 相続人全員 現在戸籍 各本籍地 1通450円
4 相続人 住民票 各住所地 300円
5 固定資産評価証明書 不動産所在地市区町村 300〜400円
6 登記事項証明書 法務局/オンライン 1通600円
7 遺産分割協議書 or 遺言書 相続人作成 or 家裁検認 印紙 不要〜数千円
8 印鑑証明書 相続人各住所地 300円
9 登記申請書 法務省様式DL 無料
10 相続関係説明図 自作 無料
11 委任状 自作 無料

実費合計は通常1〜2万円程度に収まります。最大の出費は次の登録免許税です。

登録免許税の計算式(評価額 × 0.4%)

相続登記の登録免許税は、**固定資産税評価額の0.4%**と定められています(登録免許税法別表第一・国税庁 タックスアンサー No.7191)。

計算式

登録免許税 = 不動産の固定資産税評価額 × 0.4%(1000円未満切り捨て)

具体例

  • 評価額500万円の土地 → 5,000,000 × 0.4% = 20,000円
  • 評価額1,500万円の土地 + 評価額300万円の建物 = 評価額合計1,800万円 → 18,000,000 × 0.4% = 72,000円
  • 評価額3,500万円の土地 → 35,000,000 × 0.4% = 140,000円

100万円以下の土地等の免税措置(2025年3月末まで)

評価額100万円以下の土地については、相続登記の登録免許税が免税となる制度があります(2025年3月末まで・延長の可能性あり)。地方の山林・原野・道路敷等が該当するケースがあります。

納付方法

  • 収入印紙(3万円超は不可の場合あり)
  • 現金(領収証書を申請書に貼付)
  • 電子納付(オンライン申請時)

自分でやる場合の手順 8ステップ

ステップ1: 戸籍収集(最初の関門・1〜3ヶ月)

被相続人の出生から死亡までの戸籍を時系列で集めます。本籍地が複数ある場合は順に郵送請求していきます。古い戸籍は読みづらく、改製原戸籍まで遡る必要があるため、ここで1〜3ヶ月かかるのが普通です。

ステップ2: 不動産の特定(1日〜1週間)

固定資産税納税通知書を見て、被相続人名義の不動産をリストアップします。納税通知書に載っていない私道・山林等を見落とすことがあるため、市区町村で「名寄帳」を取得すると安心です。

ステップ3: 遺産分割協議(家族の話し合い・期間ケースバイケース)

遺言書がない場合は、相続人全員で誰がどの不動産を相続するか合意します。家じまいくん診断で4選択肢(売却・賃貸・自己利用・解体)の手残りを比較すると、議論が数字ベースで進みます。

ステップ4: 遺産分割協議書の作成(1〜2日)

合意内容を書面化します。「誰が・どの不動産(所在・地番・家屋番号)を・どれだけ(持分)取得するか」を明記し、相続人全員が署名・実印を押印します。

ステップ5: 必要書類の最終収集(1〜2週間)

不足分の戸籍・住民票・印鑑証明書・固定資産評価証明書を集めます。法務局の事前相談(無料)を予約して、書類の過不足を確認することが推奨されます。

ステップ6: 登記申請書の作成(1〜3時間)

法務省の様式に従って記入します。法務省サイトに記載例が複数掲載されているため、自分のケースに最も近い記載例を参考にします。

ステップ7: 登録免許税の納付準備(1日)

固定資産税評価額×0.4%を計算し、収入印紙を購入するか電子納付の準備をします。

ステップ8: 法務局へ提出(即日〜1日)

①窓口提出(法務局で確認しながら申請)、②郵送提出(書留+簡易書留)、③オンライン申請の3パターンから選びます。

オンライン申請の使い方

法務省は「登記・供託オンライン申請システム」を運営しており、24時間(メンテナンス時間除く)申請可能です。

オンライン申請のメリット:

  • 法務局の開庁時間に縛られない
  • 登録免許税の電子納付が可能
  • 提出書類の電子送信が可能(ただし戸籍等の原本添付書類は別途郵送)

オンライン申請のデメリット:

  • ICカードリーダー・電子証明書(マイナンバーカード等)の準備が必要
  • 初回設定がやや煩雑
  • 紙書類との併用が必要(戸籍原本は郵送)

申請件数が多い不動産業者・司法書士事務所向けの仕組みで、個人の単発相続登記では従来の窓口・郵送方式の方が直感的という意見もあります。

自分でやる場合 vs 司法書士に依頼する場合の判断軸

判断軸 自分でやる 司法書士に依頼
物件数 1〜2件 3件以上・複数県跨ぎ
相続関係 配偶者・子のみのシンプル 数次相続・代襲相続・甥姪
共有名義 単独取得 共有名義になる予定
戸籍収集の余裕 平日の役所訪問が可能 仕事が忙しく時間が取れない
法務局までの距離 通える距離 遠方・複数管轄
費用感 実費1〜2万円 + 登録免許税 上記 + 司法書士報酬5〜15万円
所要時間 1〜4ヶ月(書類収集含む) 1〜3ヶ月

司法書士に依頼すべき典型ケース:①数次相続(祖父の代から登記未了)、②代襲相続が絡む、③相続人の中に行方不明者がいる、④共有名義の不動産が複数、⑤遺産分割で揉めている、⑥仕事が忙しく書類収集の時間が取れない、のいずれかに該当する場合。

よくある失敗と注意点

失敗1: 戸籍を1通だけ取ればいいと思っていた

被相続人の戸籍は「出生から死亡まで」のすべてが必要です。本籍地を複数移動している場合は5〜10通になることも珍しくありません。

失敗2: 登記簿上の住所と被相続人の最後の住所が違う

長年同じ住所に住んでいた場合でも、住居表示変更や町名地番変更で登記簿上の住所と実際の最後の住所がズレていることがあります。住民票除票だけでなく「戸籍の附票」の取得が必要です。

失敗3: 固定資産評価証明書を「相続発生時の年度」で取った

登録免許税の計算根拠は「申請する年度の評価証明書」を使います。古い証明書を取った場合は再取得が必要です。

失敗4: 遺産分割協議書に印鑑証明書を添付し忘れた

遺産分割協議書には相続人全員の実印押印 + 印鑑証明書の添付がセットです。どちらか欠けると登記申請は受理されません。

失敗5: 自分の家のケースに合った申請書様式を選び間違えた

法務省の様式は「法定相続」「遺産分割」「遺言」等のケース別に異なります。自分のケースに合った様式を法務省サイトで確認してから記入してください。

直ちに登記が難しい場合の救済策 — 相続人申告登記

書類収集や遺産分割協議に時間がかかり、3年の期限に間に合わない場合は、相続人申告登記(不動産登記法76条の3)の選択肢があります。これは「自分が相続人である」ことを法務局に申告するだけで義務履行とみなされる制度で、戸籍と住民票だけで申請可能です。

ただし、これはあくまで暫定措置です。最終的には遺産分割成立後に正規の相続登記を申請する必要があります。詳細は法務省「相続人申告登記について」を参照してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 自分で相続登記をやるか司法書士に依頼するか、どう判断する?

物件数・相続関係の複雑さ・戸籍収集の余裕で判断します。物件1〜2件・相続人が配偶者と子のみ・遺言書なし・遺産分割合意済 ならば自分でやる選択肢が現実的です。数次相続・代襲相続・複数県跨ぎ・遺産分割が揉めているなら司法書士依頼が無難です。

Q2. 司法書士に依頼すると費用はいくら?

業界目安として5〜15万円程度(登録免許税・実費別)。物件数や難易度により加算されます。複数の司法書士事務所から見積を取ることが推奨されます。

Q3. 相続登記の所要時間は?

書類が揃った段階で、法務局申請から完了まで1〜3週間程度が目安です。書類収集自体は1〜3ヶ月かかることが多いです。

Q4. 自分で申請して間違いがあったら?

法務局の「補正」連絡で訂正対応となります。重大な不備の場合は申請却下となり、書類を整え直して再申請が必要です。申請前に法務局の事前相談(無料・要予約)で書類確認することが推奨されます。

Q5. オンライン申請と窓口申請、どちらが楽?

個人の単発相続登記では窓口申請(事前相談を活用)の方が直感的という意見が多いです。オンライン申請は ICカードリーダー・電子証明書の準備が必要で、初回設定がやや煩雑です。

Q6. 100万円以下の土地の免税措置はいつまで?

2025年3月末までの措置(延長の可能性あり)。地方の山林・原野・道路敷等の評価額が低い土地が該当する場合があります。

Q7. 義務化に違反するとすぐに過料を払うの?

正当な理由なく3年期限を過ぎた場合、法務局からの「催告」を経て、最終的に裁判所が過料を科す流れになります。直ちに過料が確定するわけではありません。詳細は相続登記の義務化はいつから?コラムを参照。

関連リソース

相続登記は2024年4月から義務化され、3年以内の対応が法的に必要となりました。シンプルケースなら自分で申請可能で、登録免許税以外の実費は1〜2万円程度。複雑なケースは司法書士依頼を検討してください。家族での意思決定の前段として、家じまいくん診断で4選択肢の方向性を整理することも推奨します。

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、 税務・法務・不動産取引に関する個別具体的な助言を行うものではありません。 個別のご事情に応じた判断は、税理士・司法書士・弁護士・宅地建物取引士等の有資格者にご相談ください。 また、法令・通達は本記事公開後に改正される可能性があります。最新情報は各官公庁のWebサイトをご確認ください。

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