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2026年版 相続不動産 譲渡所得税 完全ガイド

国税庁タックスアンサー6本(No.3306 / No.3267 / No.4124 / No.3208 / No.3211 / No.1490)+ 補助4本を一次ソースに、相続実家を売却した時の3,000万円特別控除・取得費加算・小規模宅地等の特例・マイホーム特例を家じまいくん編集部が横断整理。併用可否マトリクス・計算例4ケース・FAQ 60問付き。

公開: 2026年5月14日 | データ確認日: 2026-05-14 | 法令基準: 令和7年4月1日現在法令等 | 編集: 家じまいくん編集部

1. 譲渡所得税の基本構造

譲渡所得金額の計算式は国税庁 No.3208 / No.3211 共通で、課税譲渡所得金額 = 譲渡価額(収入金額) −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除額。相続による取得の場合、被相続人や贈与者の取得日がそのまま相続人に引き継がれるため(No.3270)、被相続人が長く保有していた実家は相続後すぐ売っても通常「長期譲渡」になります。

区分所有期間基準所得税住民税復興特別所得税合計実効税率出典
長期譲渡所得譲渡した年の1月1日現在で所有期間 5年超15%5%基準所得税額×2.1%(実効 0.315%)20.315%国税庁 No.3208
短期譲渡所得譲渡した年の1月1日現在で所有期間 5年以下30%9%基準所得税額×2.1%(実効 0.63%)39.63%国税庁 No.3211

復興特別所得税の適用期間は平成25年〜令和19年(2013年〜2037年)。長期譲渡では実効税率 0.315%、短期譲渡では実効税率 0.63%。

2. 主要4特例の概要

相続不動産の譲渡に関連する主な特例4つを横断整理します。詳細要件・適用期限・主要要件は各セクションを参照。

3,000万特控(空き家特例)

正式名称: 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 / 課税軸: 譲渡所得税 / 法的根拠: 租税特別措置法 第35条 第3項

適用期限平成28年4月1日から令和9年(2027年)12月31日までの譲渡(相続開始から3年経過する日の属する年の12月31日までの譲渡が対象)
控除額・減額最高 3,000万円 / 令和6年1月1日以後の譲渡で相続人3人以上の場合は最高 2,000万円
主な要件
  • 対象家屋は昭和56年5月31日以前に建築されたこと(旧耐震基準)
  • 売却額が1億円以下であること
  • 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
  • 譲渡方法は3パターン(耐震リフォーム後譲渡 / 取壊し後譲渡 / 一定要件下の譲渡)
  • 親子・夫婦等の特別関係者への譲渡は不可
  • 取得費加算等の他の特例の適用を受けていないこと
出典国税庁 No.3306 / No.3307(老人ホーム特例) 公式ページ

取得費加算の特例

正式名称: 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 / 課税軸: 譲渡所得税 / 法的根拠: 租税特別措置法 第39条

適用期限相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで(相続開始から最長 約3年10ヶ月以内)
控除額・減額計算式: 取得費に加算する相続税額 = 相続税額 × (該当資産の相続税評価額 ÷ 相続時の総課税価格)
主な要件
  • 相続や遺贈により財産を取得した者であること
  • その財産を取得した人に相続税が課税されていること
  • 上記の譲渡期限内に譲渡していること
出典国税庁 No.3267 公式ページ

小規模宅地等の特例

正式名称: 相続した事業の用や居住の用の宅地等の特例 / 課税軸: 相続税(譲渡所得税の特例ではない) / 法的根拠: 租税特別措置法 第69条の4

適用期限相続税の申告期限まで(相続開始から10ヶ月以内)
控除額・減額4区分 / 特定居住用 330㎡×80%減 / 特定事業用 400㎡×80% / 特定同族会社事業用 400㎡×80% / 貸付事業用 200㎡×50%
主な要件
  • 区分ごとの取得者要件(配偶者は要件なし)
  • 同居親族は相続開始直前から申告期限まで引き続き居住・所有
  • 家なき子特例: 相続開始前3年以内に取得者・配偶者等が所有する家屋に居住していないこと、相続開始時に取得者が居住する家屋を相続開始前のいずれかの時に所有していたことがないこと
  • 相続税の申告書に適用を受ける旨を記載し、計算明細書・遺産分割協議書の写し等を添付
出典国税庁 No.4124 公式ページ

マイホーム特例(居住用財産3,000万)

正式名称: マイホームを売ったときの特例(居住用財産の譲渡所得の特別控除) / 課税軸: 譲渡所得税 / 法的根拠: 租税特別措置法 第35条 第1項

適用期限原則として時限立法ではなく恒久的措置
控除額・減額最高 3,000万円
主な要件
  • 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地を売ること
  • 居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 売却の前年・前々年にこの特例または被相続人居住用財産(空き家)特例の適用を受けていないこと
  • 親子・夫婦等の特別関係者への譲渡でないこと
出典国税庁 No.3302 公式ページ

3. 併用可否マトリクス(最重要)

相続実家の売却で関係する4特例の併用可否を、国税庁タックスアンサー本文・条文・適用要件の明示から整理しました。3,000万特控と取得費加算は同一資産の同一部分では選択適用ですが、複数物件があれば物件単位での別個選択は可。小規模宅地等の特例は相続税の特例のため、譲渡所得税の特例とは課税軸が異なります。

組み合わせ可否結論ラベル根拠
3,000万特控(No.3306)+ 取得費加算(No.3267)×不可(選択適用)No.3306 本文「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例…他の特例の適用を受けていないこと」。同一不動産の同一部分には不可。ただし複数物件があれば物件単位で別個の選択は可。
3,000万特控(No.3306)+ 小規模宅地(No.4124)可(課税軸が異なる)譲渡所得税の特例 vs 相続税の特例で課税軸が異なる。両特例とも本文に重複適用禁止の明示なし。
取得費加算(No.3267)+ 小規模宅地(No.4124)可(課税軸が異なる)取得費加算は相続税課税が前提条件のため、小規模宅地適用後の相続税額が取得費加算の計算ベースとなる。
3,000万特控(No.3306)+ マイホーム特例(No.3302)×同一資産では不可・同一年度内は要件で除外No.3302 適用要件「『被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例』により…適用を受けている場合を除く」。マイホーム3,000万特控と軽減税率(No.3305)は併用可。

4. 計算例 4ケース

本セクションの数値は計算式の動作確認のための例示です。実際の数値は物件条件・税率・取得費資料の有無で変動するため、必ず税理士または税務署で個別試算してください。

ケース1: 相続実家を3年以内売却(3,000万特控 + 概算取得費)

前提:

  • 相続: 父の実家(昭和50年建築・東京郊外)
  • 譲渡: 相続開始から2年後、家屋取壊し後の土地として 4,500万円で売却
  • 取得費資料なし → 概算取得費 = 4,500万円 × 5% = 225万円(No.3258)
  • 譲渡費用: 200万円(取壊し費用 + 仲介手数料)
  • 相続人: 1人(控除額 3,000万円適用可)

計算:

  • 譲渡所得 = 4,500万 − (225万 + 200万) − 3,000万 = 1,075万円
  • 長期譲渡(被相続人の取得日を引継ぎ) → 税率 20.315%
  • 税額 = 1,075万 × 20.315% ≒ 約 218.4 万円

結論: 3,000万特控が適用できれば、概算取得費でも譲渡所得を大幅に圧縮可能。

ケース2: 相続実家を3年以内売却(取得費加算)

前提:

  • 同じ 4,500万円譲渡、譲渡費用 200万円
  • 父の取得費(実額): 800万円(購入時資料あり)
  • 相続税額: 600万円
  • 該当不動産の相続税評価額: 3,000万円
  • 相続時の総課税価格: 5,000万円
  • 取得費加算と3,000万特控は選択適用 → 取得費加算を選択

計算:

  • 取得費加算額 = 600万 × (3,000万 ÷ 5,000万) = 360万円
  • 譲渡所得 = 4,500万 − (800万 + 360万 + 200万) = 3,140万円
  • 長期譲渡 → 税額 = 3,140万 × 20.315% ≒ 約 637.9 万円

結論: 本ケースでは取得費加算より3,000万特控(ケース1)の方が控除額が大きく有利。物件・取得費資料の有無で逆転することもあるため必ず両試算。

ケース3: 相続実家を5年以上保有後売却(特例なし)

前提:

  • 相続から5年後に売却 → 空き家特例(No.3306)の3年期限を超過
  • 取得費加算(No.3267)の3年10ヶ月期限も超過
  • 譲渡 4,500万円、概算取得費 225万円、譲渡費用 200万円
  • 適用可能な特例なし

計算:

  • 譲渡所得 = 4,500万 − (225万 + 200万) = 4,075万円
  • 長期譲渡(相続前の被相続人保有期間を引継ぎ) → 税額 = 4,075万 × 20.315% ≒ 約 827.8 万円

結論: 特例期限切れで税負担が約 609万円増加(ケース1との差額)。期限管理は最重要。

ケース4: 解体補助金受給と一時所得課税

前提:

  • 自治体の老朽空き家解体補助金 100万円受給
  • その年の他の一時所得: なし
  • 給与所得など: 通常通り

計算:

  • 一時所得 = 総収入金額 − 収入を得るために支出した金額 − 特別控除額(最高50万円)
  • 一時所得 = 100万 − 0 − 50万 = 50万円
  • 課税対象 = 50万 × 1/2 = 25万円(給与所得等と合算)
  • 仮に所得税率20%・住民税10%なら ≒ 25万 × 30% ≒ 7.5万円

結論: 自治体補助金が一時所得に該当するかは個別判定。No.1490 本文には自治体補助金の具体例の記載なし。実際の申告は税務署または税理士に確認。

5. 確定申告の実務

申告期限

  • 譲渡した年の翌年 2月16日〜3月15日
  • 振替納税利用時の納付期限は通常 4月中旬
  • 住民税分は譲渡した年の翌年6月以降に課税

主な必要書類

  • 譲渡所得の内訳書
  • 3,000万特控適用時: 被相続人居住用家屋等確認書(市区町村発行)/ 家屋の登記事項証明書 / 売買契約書の写し / 耐震基準適合証明書または取壊し後譲渡の証明書類
  • 取得費加算適用時: 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書 / 相続税申告書の写し
  • 共通: 確定申告書 B様式

取得費が不明な場合(国税庁 No.3258)

国税庁 No.3258 原文「売った金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます」。実額取得費 が 5% 未満でも、5% 相当額を選択可能です。市街地価格指数等の代替推計は国税庁タックスアンサー本文には記載がないため、税理士相談を推奨します。

6. よくある質問(FAQ 60問)

A. 譲渡所得税の基本

長期/短期判定・税率・課税譲渡所得金額の計算式。

Q1. 譲渡所得税はどう計算しますか?
A. 課税譲渡所得金額 = 譲渡価額(収入金額) −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除額(国税庁 No.3208/No.3211 原文)。この金額に長期譲渡なら20.315%、短期譲渡なら39.63%の税率を掛けて税額を求めます。
Q2. 長期譲渡と短期譲渡はどう区別しますか?
A. 譲渡した年の1月1日現在で、所有期間が5年を超えるなら長期譲渡、5年以下なら短期譲渡です(No.3208/No.3211)。判定基準日は1月1日のため、5年経過からさらに最大約1年待たないと長期判定にならないケースがあります。
Q3. 相続した不動産はいつ取得したことになりますか?
A. 国税庁 No.3270 原文「被相続人や贈与者の取得の時期がそのまま取得した相続人や受贈者に引き継がれます」。つまり被相続人(亡くなった親など)が取得した日が、相続人にとっての取得日になります。被相続人が長く保有していた実家なら、相続後すぐ売っても長期譲渡になるケースが圧倒的多数です。
Q4. 長期譲渡の税率を教えてください。
A. 所得税15% + 住民税5% + 復興特別所得税(所得税15%×2.1%=0.315%)= 合計 20.315%(国税庁 No.3208)。復興特別所得税の適用期間は平成25年〜令和19年(2013年〜2037年)です。
Q5. 短期譲渡の税率を教えてください。
A. 所得税30% + 住民税9% + 復興特別所得税(所得税30%×2.1%=0.63%)= 合計 39.63%(国税庁 No.3211)。長期譲渡の倍近い税率です。
Q6. 取得費とは何ですか?
A. 取得費は、その不動産を取得(購入・建築)するためにかかった金額です。土地は購入代金、建物は購入・建築代金から減価償却費相当額を控除した金額が原則です。取得費が分からない場合は、譲渡価額の5%を概算取得費として使うことができます(国税庁 No.3258)。
Q7. 譲渡費用にはどんなものが入りますか?
A. 譲渡費用は、不動産を売るために直接かかった費用です。代表例は、不動産仲介手数料、印紙税(売主負担分)、土地測量費、家屋の取壊し費用、立退料、契約解除のための違約金などです。固定資産税・修繕費・引越し代は譲渡費用に含まれません。
Q8. 減価償却費はどう計算しますか?
A. 建物の取得費から減価償却費相当額を控除する必要があります。業務用不動産は事業の必要経費として計上した減価償却費の累計額を、非業務用(マイホーム等)は法定耐用年数の1.5倍の年数で旧定額法による償却率で計算した相当額を控除します。詳細は国税庁または税理士に確認してください。
Q9. 復興特別所得税はいつまで課されますか?
A. 復興特別所得税の適用期間は平成25年(2013年)から令和19年(2037年)までです(国税庁 No.3208)。期間内は、基準所得税額(所得税の額)に対して2.1%が課されます。長期譲渡では実効税率 0.315%、短期譲渡では実効税率 0.63% となります。
Q10. 売却益が出なければ税金はかかりませんか?
A. 課税譲渡所得金額がゼロまたはマイナスなら、譲渡所得税はかかりません。ただし、損失が出た場合の他の所得との損益通算は、原則として不動産譲渡所得では認められません(マイホーム買換え等の特例を除く)。詳細は税務署または税理士に確認してください。

B. 3,000万円特別控除(空き家特例)

対象家屋・売却額上限・適用期限・耐震/取壊し要件・相続人複数時の控除減額。

Q11. 空き家特例の3,000万特別控除はいつまで使えますか?
A. 国税庁 No.3306 原文「平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売って」。つまり 2027年12月31日までの譲渡が対象です(2026-05-14 時点)。さらに、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡する必要があります。
Q12. 対象となる家屋はどんな建物ですか?
A. 昭和56年5月31日以前に建築されたこと(旧耐震基準)が要件です(国税庁 No.3306)。これに加えて、相続の直前まで被相続人が居住していたこと(または老人ホーム等入居の特例該当)、区分所有建物登記がされていない一戸建てであること、相続後に事業・賃貸・他人居住に供されていないこと、などが必要です。
Q13. 売却額に上限はありますか?
A. 売却額が1億円以下であることが要件です(国税庁 No.3306)。1億円超で売却した場合、特例は適用できません。同一不動産を分割譲渡した場合は、合算して1億円以下である必要があります。
Q14. 相続人が複数いる場合の控除額はどうなりますか?
A. 国税庁 No.3306 原文「令和6年1月1日以後に行う譲渡で…相続人の数が3人以上である場合は2,000万円までとなります」。つまり、令和6年1月1日以後の譲渡で相続人3人以上なら、1人あたり最高 2,000万円。相続人1〜2人なら従来通り最高 3,000万円です。
Q15. 適用を受けるための譲渡方法は?
A. 3パターンあります(国税庁 No.3306): ① 耐震リフォーム後に家屋+敷地を譲渡、② 家屋を取壊して敷地のみを譲渡、③ 一定要件下での譲渡(買主による翌年2月15日までの耐震リフォームまたは取壊し)。いずれも詳細要件があるため、譲渡前に税務署または税理士に確認してください。
Q16. 親子間や夫婦間の譲渡でも適用できますか?
A. 適用できません。特別関係者(親子・夫婦・生計を一にする親族・内縁関係にある者など)への譲渡は除外されます(国税庁 No.3306)。
Q17. 被相続人が老人ホームに入っていた場合は適用できますか?
A. 国税庁 No.3307 で平成31年4月1日以降の譲渡から要件緩和されています。要介護認定等を受けて特定の施設(特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅等)に入所していた場合も、入所中に家屋が物品保管その他の用に供され、事業・賃貸・他人居住に供されていなければ適用可能です。
Q18. 区分所有マンションは適用できますか?
A. 原則として適用できません。3,000万特控(空き家特例)の対象は区分所有建物登記がされていない一戸建てが基本です(国税庁 No.3306)。マンションの場合は別の特例(マイホーム特例 No.3302 等)の検討が必要です。
Q19. 他の特例と併用できますか?
A. 国税庁 No.3306 原文「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと」。同一不動産の同一部分について、取得費加算の特例(No.3267)等とは選択適用となります(併用不可)。マイホーム特例(No.3302)とも同一資産では併用不可。
Q20. 申告に必要な書類は何ですか?
A. 譲渡所得の内訳書、被相続人居住用家屋等確認書(市区町村発行)、家屋の登記事項証明書、売買契約書の写し、耐震基準適合証明書または取壊し後譲渡の証明書類、などが必要です。譲渡した年の翌年2月16日〜3月15日に確定申告書 B様式とともに提出します。

C. 取得費加算の特例

計算式・適用期限・選択適用ルール・必要書類。

Q21. 取得費加算の特例とは何ですか?
A. 相続税が課税された相続財産を、相続税申告期限から3年以内に譲渡した場合、納めた相続税の一部を取得費に加算できる特例です(国税庁 No.3267)。譲渡所得が圧縮され、譲渡所得税が軽減されます。
Q22. 取得費加算の計算式を教えてください。
A. 取得費に加算する相続税額 = 相続税額 × (該当資産の相続税評価額 ÷ 相続時の総課税価格)(国税庁 No.3267)。この加算額を実額取得費に上乗せして譲渡所得を計算します。
Q23. 適用期限はいつまでですか?
A. 相続開始のあった日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡することが要件です(国税庁 No.3267)。相続税の申告期限は相続開始から10ヶ月以内のため、相続開始から最長 約3年10ヶ月以内が期限となります。
Q24. 取得費加算の3要件は何ですか?
A. 国税庁 No.3267 原文の3要件: (1) 相続や遺贈により財産を取得した者であること、(2) その財産を取得した人に相続税が課税されていること、(3) その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること、です。
Q25. 相続税ゼロでも適用できますか?
A. 適用できません。要件 (2) で「その財産を取得した人に相続税が課税されていること」が必須のため、相続税ゼロの相続人は対象外です(国税庁 No.3267)。
Q26. 土地と建物を別々に売却した場合の取り扱いは?
A. 計算式の「該当資産の相続税評価額」「相続時の総課税価格」を各資産について個別に計算します。土地のみ売却した場合は土地の相続税評価額を、建物のみ売却した場合は建物の相続税評価額を用います。詳細は税理士に確認してください。
Q27. 3,000万特控と取得費加算はどちらが有利ですか?
A. ケースバイケースです。一般的には3,000万特控の方が控除額が大きいケースが多いですが、相続税額が大きく該当資産が課税価格の大半を占める場合は取得費加算の方が有利となるケースもあります。両方の試算を行い、有利な方を選択するのが業界標準です。家じまいくんミニツール「取得費加算特例計算」(/tools/syutokuhi-kasan-keisan)で試算できます。
Q28. 取得費加算の必要書類は何ですか?
A. 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書、譲渡所得の内訳書、相続税申告書の写しなどが必要です(国税庁 No.3267)。確定申告書とともに提出します。
Q29. 取得費加算は空き家以外の不動産にも使えますか?
A. 使えます。3,000万特控(No.3306)が居住用財産限定なのに対し、取得費加算(No.3267)は相続税が課税されたすべての相続財産(不動産・有価証券等)に使えます。商業用ビル・賃貸物件などにも適用可能です。
Q30. 兄弟で相続した不動産を売る場合、それぞれ適用できますか?
A. それぞれの相続人が、自分が取得した相続財産について、自分が課税された相続税の範囲内で取得費加算を適用できます。共有不動産の場合は持分割合に応じて計算します(国税庁 No.3267)。

D. 小規模宅地等の特例

4区分・限度面積・減額割合・取得者要件・家なき子特例。

Q31. 小規模宅地等の特例とは何ですか?
A. 相続税の課税価格に算入する宅地等の評価額を最大80%減額する特例です(国税庁 No.4124)。譲渡所得税の特例ではなく、相続税の特例であることに注意が必要です。家じまいくんミニツール「小規模宅地特例 適用判定」(/tools/shoukibou-takuchi-check)で簡易判定できます。
Q32. 4区分の限度面積と減額割合を教えてください。
A. 国税庁 No.4124 の4区分: ① 特定居住用宅地等 = 330㎡まで80%減、② 特定事業用宅地等 = 400㎡まで80%減、③ 特定同族会社事業用宅地等 = 400㎡まで80%減、④ 貸付事業用宅地等 = 200㎡まで50%減。
Q33. 特定居住用宅地等の取得者要件は?
A. 国税庁 No.4124 原文に基づく3パターン: ① 配偶者は取得者ごとの要件なし、② 同居親族は相続開始の直前から申告期限まで引き続き居住しかつ所有すること、③ 家なき子特例(別途6要件のすべて)。
Q34. 家なき子特例の要件は?
A. 国税庁 No.4124 の主要要件: (1) 相続開始前3年以内に日本国内にある取得者・配偶者・3親等内の親族・取得者と特別の関係がある法人が所有する家屋に居住したことがないこと、(2) 相続開始時に取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと、ほか。家じまいくんミニツール(/tools/shoukibou-takuchi-check)で7質問判定型の簡易チェックができます。
Q35. 複数区分を併用する場合の限度面積調整式は?
A. 国税庁 No.4124 原文「(① + ②) × 200/400 + ⑥ × 200/330 + (③ + ④ + ⑤) ≦ 200㎡」。記号は通達上の番号で、特定事業用と特定同族会社事業用が①②、特定居住用が⑥、貸付事業用が③④⑤に対応します。
Q36. 小規模宅地特例の申告要件は?
A. 国税庁 No.4124 原文「相続税の申告書に、この特例の適用を受けようとする旨を記載するとともに、小規模宅地等に係る計算の明細書や遺産分割協議書の写し」の添付が必要です。期限後申告では原則として適用不可ですが、やむを得ない事情がある場合の特例規定もあります。
Q37. 空き家の実家にも小規模宅地特例は使えますか?
A. 空き家(誰も住んでいない)の実家には、特定居住用宅地等としての小規模宅地特例は原則使えません。被相続人が居住していたまま亡くなり、家なき子特例の要件を満たす相続人が取得する場合は適用可能。詳細は税理士に確認してください。
Q38. 賃貸アパート・賃貸戸建ては適用できますか?
A. 貸付事業用宅地等として、200㎡まで50%減額の対象になります(国税庁 No.4124)。ただし、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等は原則として対象外です(平成30年4月1日以後相続から)。
Q39. 申告期限までに遺産分割協議が終わらない場合は?
A. 未分割のままでは小規模宅地特例は適用できません。ただし、申告期限から3年以内に分割協議が成立すれば、更正の請求により遡及適用できる場合があります(やむを得ない事情があれば3年超延長可)。詳細は税理士に確認してください。
Q40. 小規模宅地特例と3,000万特控は同時に使えますか?
A. 課税軸が異なるため同時適用可能です。小規模宅地特例は相続税、3,000万特控は譲渡所得税の特例で、両特例とも本文に重複適用禁止の明示はありません。順序として、まず相続税申告時に小規模宅地特例を適用し、その後の譲渡で3,000万特控を適用する流れになります。

E. 併用可否・選択判断

4組み合わせの併用可否・有利選択の判断軸・物件単位の選択ルール。

Q41. 3,000万特控と取得費加算はどちらか選ばないといけませんか?
A. 同一不動産の同一部分には選択適用です。国税庁 No.3306 原文「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例…他の特例の適用を受けていないこと」。両試算をして有利な方を選びます。家じまいくんミニツール「取得費加算特例計算」と本リサーチのケース1〜2比較を参考にしてください。
Q42. 複数物件を相続した場合、特例を物件ごとに変えられますか?
A. 変えられます。複数物件があれば、A物件は3,000万特控、B物件は取得費加算、というように物件単位で別個の選択が可能です。各物件の特性(築年・居住状況・売却額・相続税評価額)で最適選択は異なります。
Q43. 兄弟で相続した不動産を売る場合の特例選択は?
A. 原則として、共有者それぞれが自分の持分について特例を選択します。兄が3,000万特控、弟が取得費加算、というようにバラバラの選択も可能です。ただし共有不動産の譲渡実務では選択を統一するケースが多いため、税理士に相談してください。
Q44. 3,000万特控と小規模宅地特例の関係は?
A. 課税軸が異なるため、同時適用可能です(譲渡所得税 vs 相続税)。順序として、まず相続税申告時に小規模宅地特例を適用し、その後3年以内(または3年10ヶ月以内)の譲渡で3,000万特控を適用する流れになります。
Q45. 取得費加算と小規模宅地特例の関係は?
A. 課税軸が異なるため、同時適用可能です。むしろ取得費加算は相続税課税が前提条件のため、小規模宅地特例適用後の相続税額が取得費加算の計算ベースとなります。小規模宅地で評価減 → 相続税減 → 取得費加算額も減 という関係になります。
Q46. マイホーム特例と3,000万特控は同時に使えますか?
A. 同一資産では使えません。国税庁 No.3302(マイホーム特例)の適用要件で「『被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例』により…適用を受けている場合を除く」と明記されています。異なる資産でも同一年度内の重複適用は注意が必要です。
Q47. マイホーム特例と軽減税率の特例は併用できますか?
A. 併用可能です。国税庁 No.3305 原文「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例と軽減税率の特例は、重ねて受けることができます」。
Q48. 有利選択の判断軸を教えてください。
A. 業界共通の判断軸: ① 3,000万特控が使えるなら原則優先(控除額が大きいため)、② 取得費加算は相続税額が大きく該当資産が課税価格の大半を占める場合に有利となるケースあり、③ 売却が相続から3年超なら3,000万特控は不可なので取得費加算(3年10ヶ月以内)を検討、④ 解体補助金との一時所得課税も同時にシミュレーション、⑤ 必ず税理士で両試算 が標準フローです。
Q49. 申告後に有利選択を変更できますか?
A. 原則として、当初申告で適用した特例を後から変更する(更正の請求)のは厳格な要件があり、税務当局判断によります。3年特例期限を見越して計画的に選択するのが業界標準です。
Q50. 家じまいくんはどの段階で税理士に相談すべきと案内していますか?
A. 家じまいくん診断(/diagnose)は4選択肢の概算手残りを提示する「最初の地図」です。3,000万特控・取得費加算の有利選択は税額への影響が大きいため、本リサーチや関連ミニツールで概算を把握した後、必ず税理士に正式相談されることをおすすめしています。

F. 確定申告・実務

必要書類・申告期限・取得費不明時の対応・e-Tax/税理士依頼の判断。

Q51. 譲渡所得税の確定申告期限はいつですか?
A. 譲渡した年の翌年 2月16日〜3月15日が原則の申告期間です。振替納税利用時の納付期限は通常 4月中旬となります。期限後申告は加算税・延滞税のリスクがあります。
Q52. 取得費が分からない場合はどうすればよいですか?
A. 国税庁 No.3258 原文「売った金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます」。実額取得費が5%未満でも、5%相当額を選択可能です。市街地価格指数等の代替推計を使う実務例もありますが、国税庁タックスアンサー本文には記載がないため、税理士相談を推奨します。
Q53. e-Tax で申告できますか?
A. e-Tax での確定申告は可能です。譲渡所得の内訳書、被相続人居住用家屋等確認書(PDFスキャン)、登記事項証明書、売買契約書の写し等の添付書類を電子データで提出できます。マイナンバーカードまたは ID/パスワード方式で利用可能です。
Q54. 税理士に依頼すべきタイミングは?
A. 業界一般論として、① 譲渡所得が大きい(数千万円以上)、② 複数特例の選択が必要、③ 共有物件の譲渡、④ 取得費資料が不完全、⑤ 解体補助金との一時所得課税が絡む、⑥ マイホーム買換え等の特殊特例 のいずれかに該当するなら、税理士依頼を推奨します。報酬は譲渡所得の0.5〜1.5%程度が業界水準です。
Q55. 売却した翌年の住民税にも影響しますか?
A. 影響します。譲渡所得税のうち住民税分(長期5%・短期9%)は、譲渡した年の翌年6月以降に住民税として課されます(普通徴収または特別徴収)。給与所得者は給与天引きの追加負担、年金所得者は年金天引きの追加負担に注意が必要です。

G. 家じまいくん診断・関連ツール

家じまいくん診断・既存3ツール・関連コラム/リサーチへの導線。

Q56. 家じまいくん診断で譲渡所得税も試算できますか?
A. 家じまいくん診断(/diagnose)は4選択肢の概算手残りを提示する「最初の地図」で、売却を選んだ場合の譲渡所得税概算も含まれます。3,000万特控適用可否で売却時の手残りが大きく変わるため、診断後の有利選択判断には税理士の正式試算を推奨します。
Q57. 家じまいくんの関連ミニツールは?
A. 本リサーチに関連する主なミニツールは ① 相続税概算計算(/tools/souzoku-tax-quick-calc・No.4155速算表ベース)、② 取得費加算特例計算(/tools/syutokuhi-kasan-keisan・No.3267按分式 + 適用要件チェック)、③ 小規模宅地特例 適用判定(/tools/shoukibou-takuchi-check・No.4124・7質問判定型 + 家なき子対応)、④ 4選択肢 手残り簡易比較(/tools/yondaku-tegata-simu)の4つです。
Q58. 3,000万特控の詳細はどこで読めますか?
A. コラム「相続実家を売る前に知るべき3,000万円特別控除」(/column/akiya-3000man-tokurei)で、3,000万特控(No.3306)の適用要件と判断軸を整理しています。実物確認手順・FAQ・税理士相談タイミングまで一次情報ベースで解説しています。
Q59. 解体補助金の一時所得課税はどう試算すべきですか?
A. リサーチ第4弾「2026年版 空き家解体費用 全国相場と47県補助金一覧」(/research/akiya-kaitai-souba-2026)で47県自治体の解体補助金制度を整理しています。受給した場合の一時所得課税(50万円特控・1/2課税)は本リサーチのケース4を参考に概算可能。実額は税務署または税理士に確認してください。
Q60. 売却・賃貸・自己利用・解体の4選択肢を比較したい場合は?
A. リサーチ第3弾「相続実家 4選択肢 徹底比較 2026年版」(/research/sozoku-4-choices-2026)で4選択肢の特徴・典型ケース・判断マトリクスを整理しています。家じまいくん診断(/diagnose)と組み合わせると、自分のケースで4選択肢の概算手残りを比較できます。

7. 出典一覧(2026-05-14 確認)

国税庁タックスアンサー(主要6本)

国税庁タックスアンサー(補助)

売る・貸す・住む・壊す。税金まで含めた4選択肢を中立に比較

家じまいくん診断は、12問5分で4選択肢の概算手残りを提示する「最初の地図」です。3,000万特控の適用可否・解体補助金の一時所得課税までセットで概算します。詳細試算は税理士へ。

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関連リソース:
相続税概算計算(ミニツール) 取得費加算特例計算(ミニツール) 小規模宅地特例 適用判定(ミニツール) 4選択肢 手残り簡易比較(ミニツール) 相続実家を売る前に知るべき3,000万円特別控除(コラム) 2026年版 空き家解体費用 全国相場と47県補助金一覧(リサーチ第4弾) 相続実家 4選択肢 徹底比較(リサーチ第3弾) 相続実家 100の質問(リサーチ第2弾) 2026年版 全国空き家データ徹底調査(リサーチ第1弾)

本リサーチは令和7年4月1日現在法令等に基づく国税庁タックスアンサーの実物確認結果を整理した数値DB型ガイドです。租税特別措置法は時限立法・年次改正が頻繁にあり、適用期限・要件の最新確認は国税庁公式または税理士でお願いします。本記事は法的・税務的助言を目的としたものではありません。