家じまいくん

相続の期限 全 13 個 完全一覧表|死亡届 7 日から相続登記 3 年・遺留分 1 年まで一枚で俯瞰

相続にまつわる期限を 13 個すべて一覧化。死亡届 7 日(戸籍法 86 条)/健康保険・年金 14 日/預金凍結/遺言書検認(民法 1004 条)/相続放棄 3 ヶ月(民法 915 条)/準確定申告 4 ヶ月(所得税法 124・125 条)/相続税 10 ヶ月(相続税法 27 条)/相続登記 3 年(不動産登記法 76 条の 2・10 万円過料)/3,000 万円特別控除の譲渡期限/配偶者居住権 6 ヶ月(民法 1037 条)/遺留分侵害額請求 1 年(民法 1048 条)まで官公庁一次情報で整理。

「相続って結局、何が・いつまでに・どれくらいあるんだっけ?」

実家を相続したご家族が、まず抱きやすい疑問です。死亡届の 7 日、相続放棄の 3 ヶ月、相続税の 10 ヶ月、相続登記の 3 年、3,000 万円特別控除の譲渡期限——個別には聞いたことがあっても、全期間を一枚で俯瞰した一覧表はなかなか見つかりません。

この記事は、相続発生から完了までに通る期限を 13 個すべて並べ切ったチェックシートです。スクロール 1 枚で全期間を俯瞰でき、「過ぎたらどうなるか」(罰則・過料・特例失効)まで整理しています。各期限は戸籍法 86 条/民法 915 条・1004 条・1037 条・1048 条/不動産登記法 76 条の 2/相続税法 27 条/所得税法 124・125 条など、官公庁の一次情報を出典 URL 付きで示しました。

印刷推奨:このページは A4 1 枚に印刷して冷蔵庫や仏壇まわりに貼っておく使い方を想定しています。期限が迫った時に「次は何だっけ」を即座に確認できます。

【一覧】相続発生から完了までの全期限 13 個 — 俯瞰チェックシート

まず全体を一枚で。死亡日(厳密には「相続の開始があったことを知った日」)を起算日として、各期限を期限順に並べました。

# 期限 手続き 主な根拠法 過ぎた場合
1 7 日以内 死亡届・火葬許可申請 戸籍法 86 条 5 万円以下の過料
2 14 日以内 国民健康保険・後期高齢者医療の資格喪失届/国民年金停止(厚生年金は 10 日以内) 国民健康保険法/国民年金法 過誤払いの返還義務
3 死亡を知った時すぐ 預金口座の事実上の凍結(金融機関の独自判断) (法令上の期限ではなく実務慣習) 凍結後は相続人全員合意なしに引き出せない
4 遺言書発見時すみやかに 自筆証書遺言の検認申立て 民法 1004 条 開封すると 5 万円以下の過料(民法 1005 条)
5 3 ヶ月以内 相続放棄・限定承認の申述 民法 915 条 単純承認とみなされ借金も承継(民法 921 条)
6 4 ヶ月以内 準確定申告 所得税法 124 条・125 条 加算税・延滞税
7 6 ヶ月以内 配偶者居住権の短期居住期間(最低保障) 民法 1037 条 退去義務発生
8 10 ヶ月以内 相続税の申告・納付 相続税法 27 条 加算税・延滞税・特例適用不可リスク
9 1 年以内 遺留分侵害額請求(相続開始+侵害を知った時から) 民法 1048 条 時効消滅(相続開始から 10 年で除斥期間)
10 3 年以内 相続登記(2024 年 4 月義務化) 不動産登記法 76 条の 2 10 万円以下の過料
11 相続発生から 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで 3,000 万円特別控除(相続空き家特例)の譲渡期限 租税特別措置法 35 条 3 項 最大 3,000 万円控除の機会喪失
12 相続税申告期限の翌日から 3 年以内 取得費加算の特例(措置法 39 条)対象期間 租税特別措置法 39 条 取得費加算の機会喪失
13 相続開始から 10 年 遺留分侵害額請求の除斥期間/遺産分割協議の特別受益・寄与分主張(民法 904 条の 3) 民法 1048 条/民法 904 条の 3 主張権の完全消滅

※ 上記は被相続人が日本国内に住所を有する個人で、原則的なケースを想定しています。海外居住者・事業承継・特殊な財産(株式・連帯保証・暗号資産など)が絡む場合は、早めに有資格者へ相談してください。

ここから先は、各期限を 1 つずつ詳しく見ていきます。**「過ぎたら何が起きるか」**を最後にもう一度整理しているので、現時点で期限が迫っているもの・すでに過ぎているものがあるか、自分のケースに照らしながら読み進めてください。

1.【7 日以内】死亡届の提出(戸籍法 86 条)

最初の期限は、医師から受け取った死亡診断書を添えて市区町村役場に死亡届を提出することです。

  • 根拠法戸籍法 86 条
  • 提出先:被相続人の本籍地・死亡地・届出人の所在地のいずれかの市区町村役場
  • 期限:死亡を知った日から 7 日以内(国外で死亡を知った場合は 3 ヶ月以内)
  • 同時に行うこと:火葬許可申請。許可証が出ないと火葬・埋葬ができません

この段階の手続きはほとんどの場合は葬儀社が代行してくれます。葬儀の段取りに追われがちな時期なので、葬儀社にどこまで任せられるか早めに確認してください。

実務 Tips:死亡診断書のコピーを 5〜10 枚取っておくと、後の年金停止・保険金請求・口座解約・相続税申告で「死亡を証する書類」を繰り返し求められたときに楽です。原本は 1 枚しか発行されません。

2.【14 日以内】健康保険・年金の停止(国民健康保険法/国民年金法)

亡くなった方の健康保険と年金は、放っておくと過誤払いが発生して後で返還を求められることがあります。早めに止めましょう。

  • 国民健康保険・後期高齢者医療:死亡日から 14 日以内に資格喪失届を市区町村役場へ
  • 国民年金14 日以内に「受給権者死亡届」を年金事務所へ
  • 厚生年金10 日以内に同様の届出(注意:14 日ではなく 10 日)
  • 協会けんぽ・健保組合(在職中の方):5 日以内に勤務先経由で資格喪失届

詳細は日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」に整理されています。

このタイミングで、葬祭費(国民健康保険・後期高齢者医療:3〜7 万円程度)や埋葬料(協会けんぽ・健保組合:5 万円)の請求も同時に済ませると効率的です。請求の時効は 2 年です。

3.【死亡を知った時すぐ】預金口座の事実上の凍結

これは法令上の期限ではなく、金融機関の実務慣習です。金融機関は預金者の死亡を知った時点で口座を凍結します。新聞のお悔やみ欄・取引先からの連絡・遺族からの申告など、知るきっかけはさまざまです。

凍結後は、原則として相続人全員の合意がないと引き出せなくなります。葬儀費用や当面の生活費が必要な場合は、2019 年 7 月施行の改正民法 909 条の 2 による預貯金の払戻し制度で、遺産分割前でも一定額(預金額 × 1/3 × 法定相続分、1 金融機関 150 万円が上限)を仮払いできます。

注意:相続放棄を検討しているうちに大口の預金引き出しを行うと、「単純承認」とみなされて放棄ができなくなる可能性があります(民法 921 条)。葬儀費用への充当は単純承認に当たらないとする判例がありますが、金額・使途で判断が分かれます。放棄を視野に入れているなら、引き出し前に司法書士・弁護士に確認してください。

4.【遺言書発見時すみやかに】自筆証書遺言の検認(民法 1004 条)

相続人を確定する前に、遺言書がないか必ず確認します。遺言書の有無で、その後の遺産分割の進め方が大きく変わるからです。

  • 根拠法民法 1004 条
  • 手続き:被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に検認申立て(裁判所「遺言書の検認」
  • 期限:法律上の数値期限は定められていませんが、「遺言書の保管者は相続の開始を知った後、遅滞なく家庭裁判所に提出してその検認を請求しなければならない」(民法 1004 条 1 項)と規定されています
遺言書の種類 家庭裁判所の検認 備考
自筆証書遺言(自宅・銀行貸金庫などで保管) 必要(民法 1004 条) 開封せずに家裁へ
自筆証書遺言(法務局の保管制度を使ったもの) 不要 2020 年 7 月開始
公正証書遺言 不要 最寄りの公証役場で全国検索可能
秘密証書遺言 必要 利用例は少ない

検認前に開封すると最大 5 万円以下の過料(民法 1005 条)が科されることがあります。自宅などで遺言書を見つけても、その場で開けずに家庭裁判所へ持参してください。検認申立てから検認期日までは 1〜2 ヶ月かかるのが一般的です。

5.【3 ヶ月以内】相続放棄・限定承認の申述(民法 915 条)

相続放棄をするかどうかは、自己のために相続の開始があったことを知った時から 3 ヶ月以内に決めなければなりません。

相続放棄を検討すべき主なケースは次のとおりです。

  • 借金や連帯保証が多い:実家の価値以上の負債がある場合
  • 不動産に重大な瑕疵がある:再建築不可、土壌汚染、共有名義のトラブルなど
  • 遠方で管理できず、固定資産税だけが続く
  • 長年疎遠で被相続人の財産状況がまったくわからない

注意したいのは、相続財産を一部でも処分(売却・解約・廃棄)すると「単純承認」とみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があることです(民法 921 条)。家財の片付けや預金の解約も、放棄を考えているうちは慎重に進めてください。

3 ヶ月の起算点は「相続の開始があったことを知った時」なので、遠方の親戚の借金が後から発覚した等のケースでは、起算点を後ろにずらす主張が認められる余地があります。判断に迷うケースは多いので、必ず司法書士・弁護士に相談してください。詳しい判断軸は相続放棄の判断基準と落とし穴で整理しています。

6.【4 ヶ月以内】準確定申告(所得税法 124 条・125 条)

被相続人がその年の 1 月 1 日から死亡日までに得た所得は、相続人が代わりに確定申告(準確定申告)する必要があります。

給与所得のみで源泉徴収が完結している会社員のケース等は申告不要なこともありますが、事業所得・不動産所得・年金以外の所得・医療費控除がある場合は申告した方が有利になることが多いです。期限を過ぎると加算税・延滞税が課されます。

7.【6 ヶ月以内】配偶者居住権の最低保障期間(民法 1037 条)

2020 年 4 月施行の改正民法で新設された、配偶者短期居住権の最低保障期間です。

  • 根拠法民法 1037 条
  • 内容:被相続人の死亡時に建物に無償で住んでいた配偶者は、遺産分割が完了する日または相続開始から 6 ヶ月を経過する日のいずれか遅い日まで、その建物に無償で住み続けることができる

これは「期限内に行動する」期限ではなく、「この期間は退去を求められない」という保障です。実家に住む配偶者と、別居していた相続人(子等)で意見が分かれている場合、6 ヶ月は必ず居住が認められると知っておくと、家族内の協議の前提が揃います。

なお、終身(配偶者の死亡まで)有効な配偶者居住権(民法 1028 条以下、長期)とは別の制度なので、混同しないよう注意してください。

8.【10 ヶ月以内】相続税の申告・納付(相続税法 27 条)

相続税は、相続開始を知った日の翌日から 10 ヶ月以内に申告・納付します。

すべての相続で相続税がかかるわけではありません。次の基礎控除を超えなければ申告不要です。

基礎控除額 = 3,000 万円 + 600 万円 × 法定相続人の数

たとえば法定相続人が配偶者と子 2 人の合計 3 人なら、基礎控除は 4,800 万円。遺産総額(プラスの財産−マイナスの財産)がこれを下回れば、相続税の申告も納税も不要です。

10 ヶ月を過ぎると加算税・延滞税が課されるだけでなく、小規模宅地等の特例(評価額最大 80% 減)や配偶者の税額軽減(1 億 6,000 万円または法定相続分のいずれか多い方まで非課税)の適用が期限内申告に紐づくため、特例を使えるはずだったケースで使えなくなるリスクがあります。納付資金の準備については相続税の納税資金も併せて確認してください。

9.【1 年以内】遺留分侵害額請求(民法 1048 条)

遺留分とは、配偶者・子・直系尊属(兄弟姉妹は対象外)が法律上最低限受け取れる相続財産の取り分です。被相続人の遺言や生前贈与によって遺留分が侵害された場合、侵害された相続人は他の相続人や受贈者に対して遺留分侵害額の支払いを請求できます。

  • 根拠法民法 1048 条
  • 期限(短期):相続の開始および遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から 1 年以内に行使しないと時効消滅
  • 期限(長期):相続開始から 10 年で除斥期間として完全消滅

「遺留分を侵害している遺言だ」と気付いたら、1 年以内に内容証明郵便等で相手方に請求の意思表示を行うことで時効を中断できます。請求の意思表示自体は弁護士に依頼しなくても可能ですが、金額交渉が始まる段階で弁護士に入ってもらうのが安全です。

10.【3 年以内】相続登記の義務(不動産登記法 76 条の 2・2024 年 4 月義務化)

2024 年 4 月 1 日から、相続登記が法律上の義務になりました。

  • 根拠法不動産登記法 76 条の 2
  • 期限:不動産を取得したことを知った日から 3 年以内
  • 遡及適用:施行日(2024 年 4 月 1 日)より前に発生した相続にも適用。経過措置として、施行日または不動産取得を知った日のいずれか遅い日から 3 年以内に申請が必要
  • 正当な理由なく怠った場合10 万円以下の過料が科されることがあります
  • 詳細法務省「相続登記の申請が義務化されました」

遺産分割協議が長引いて 3 年以内に登記まで終わらないケースのために、簡易な代替手段として「相続人申告登記」が用意されています。とりあえず申告登記だけ済ませておけば、過料リスクは回避できます。詳しくは相続登記の義務化はいつから?で整理しています。

11.【相続発生から 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで】3,000 万円特別控除の譲渡期限(措置法 35 条 3 項)

実家を売却した場合、譲渡所得から最大 3,000 万円を控除できる強力な特例です。期限ある税制特例の中で、家じまいくんが最も伝えたい部分です。

たとえば 2026 年 5 月 19 日に相続が発生した場合、譲渡期限は 2029 年 12 月 31 日までです。3 年ちょうどではなく、「3 年を経過する日の属する年の 12 月末」までなので、ほぼ 3 年半〜4 年弱の余裕があります。

主な要件は次のとおりです。

  • 1981 年(昭和 56 年)5 月 31 日以前に建築された旧耐震基準の建物
  • 区分所有建物(マンション)以外
  • 相続開始の直前まで被相続人が一人暮らしだった
  • 相続後、売却までに貸付・事業に使っていない
  • 一定の耐震基準を満たすか、取り壊して更地で売却している
  • 譲渡対価が 1 億円以下

2024 年改正で、相続人が 3 人以上の場合、控除額は 1 人あたり 2,000 万円に縮小されました。要件は細かく、解釈ミスで適用できないリスクが高い特例です。検討される際は必ず空き家の 3000 万円特別控除を確認のうえ、税理士の事前確認を受けることを強くおすすめします。

12.【相続税申告期限の翌日から 3 年以内】取得費加算の特例(措置法 39 条)

相続税申告期限の翌日から 3 年以内に売却した場合、相続税額の一部を譲渡所得の取得費に加算できる特例です。

  • 根拠法:租税特別措置法 39 条
  • 期限:相続税申告期限(相続開始から 10 ヶ月)の翌日から 3 年以内に売却(合計:相続開始から約 3 年 10 ヶ月以内)

3,000 万円特別控除と併用できないなどの制約はありますが、相続税が大きかったケースでは検討する価値があります。3,000 万円特控との有利不利は売却額・相続税額・建物の築年で大きく変わるので、譲渡前に税理士と試算してください。

13.【相続開始から 10 年】遺産分割協議における特別受益・寄与分の主張(民法 904 条の 3)

2023 年 4 月施行の改正民法 904 条の 3 で新設された、遺産分割協議における主張期限です。

  • 根拠法民法 904 条の 3
  • 内容:相続開始から 10 年を経過した後は、遺産分割協議で特別受益(生前贈与を受けていた等)や寄与分(被相続人の財産形成に貢献した等)を原則として主張できなくなる

遺産分割協議そのものに期限はありませんが、10 年を超えると法定相続分での画一的な分割になるため、生前贈与や介護による寄与を考慮した「実質的な公平」を実現したい場合は、10 年以内に協議をまとめる必要があります。

施行日(2023 年 4 月 1 日)より前に発生した相続にも経過措置で適用されるので、長年放置している実家がある場合は要注意です。

過ぎたらどうなるか — 罰則・過料・特例失効の整理

13 個の期限を一通り見たところで、過ぎた場合の代償をもう一度整理します。

期限 過ぎた場合のリスク・代償
死亡届 7 日 5 万円以下の過料(戸籍法 137 条)
健康保険・年金 14 日 過誤払いの返還義務、手続きの煩雑化
預金凍結(実務慣習) 凍結後は相続人全員合意なしに引き出せない
遺言書検認すみやか 開封すると 5 万円以下の過料(民法 1005 条)
相続放棄 3 ヶ月 単純承認とみなされ借金も承継(民法 921 条)
準確定申告 4 ヶ月 加算税・延滞税
配偶者居住権 6 ヶ月 退去義務の発生(協議継続中ならこの間は退去不要の保障)
相続税 10 ヶ月 加算税・延滞税、小規模宅地等特例・配偶者税額軽減の適用不可リスク
遺留分侵害額請求 1 年 時効消滅、相続開始から 10 年で完全消滅
相続登記 3 年 10 万円以下の過料(不動産登記法 76 条の 2)
3,000 万円特別控除の譲渡期限 最大 3,000 万円 ×(人数)の控除機会喪失 = 数百万〜千万円単位の損失
取得費加算 3 年 10 ヶ月 取得費加算による譲渡所得圧縮の機会喪失
特別受益・寄与分 10 年 法定相続分での画一的な分割になり実質的な公平が実現できない

特に金額インパクトが大きいのは、3,000 万円特別控除の譲渡期限相続税の特例適用です。過料 10 万円は痛いですが、控除機会の喪失は数百万円〜数千万円規模になります。「相続登記 3 年」と「3,000 万円特別控除の譲渡期限(相続開始から 3 年強)」は期限が近接しているので、3 年以内に売却するなら登記→売却を 3 年以内にワンセットで動かす段取りが基本になります。

期限がまだ残っているか自分のケースで確認したい場合は、相続放棄期限チェッカーで死亡日から起算した残日数を確認できます(無料・登録不要)。

期限を守るための「逆算スケジュール」3 つのモデル

13 個の期限を、ご家族の状況別に逆算スケジュールで整理すると、行動順序が見えてきます。

モデル A:「相続税がかからない・実家を売る予定」(最頻ケース)

  • Day 1〜7:死亡届
  • Day 7〜14:健康保険・年金停止
  • Day 14〜30:預金口座・公共料金・遺言書確認
  • Day 30〜90:相続放棄の方向性確定
  • 〜4 ヶ月:準確定申告
  • 〜1 年:戸籍収集・遺産分割協議
  • 〜2 年:相続登記
  • 〜3 年強:実家売却(3,000 万円特別控除の譲渡期限内)

モデル B:「相続税がかかる・実家を売る予定」

  • Day 1〜7:死亡届
  • Day 7〜14:健康保険・年金停止+税理士初回相談
  • Day 14〜30:預金口座・公共料金・遺言書確認
  • Day 30〜90:相続放棄の方向性確定
  • 〜4 ヶ月:準確定申告
  • 〜10 ヶ月:相続税申告・納付(特例適用は申告必須)
  • 〜2 年:相続登記
  • 〜3 年強:実家売却(3,000 万円特別控除 or 取得費加算の有利選択)

モデル C:「相続税がかかる・配偶者が実家に住み続ける」

  • Day 1〜7:死亡届
  • Day 7〜14:健康保険・年金停止+税理士初回相談
  • Day 14〜30:預金口座・公共料金・遺言書確認
  • 〜6 ヶ月:配偶者居住権の協議(短期居住権が保障される期間)
  • 〜10 ヶ月:相続税申告(配偶者税額軽減で大幅減)
  • 〜3 年:相続登記
  • 〜10 年:特別受益・寄与分が主張できる期間内に分割完了

どのモデルに当てはまるかは、相続税の有無・実家の処遇(売る・貸す・住む・壊す)・相続人構成で決まります。Day 30 までに方向性を固めるのが、その後の 3 年を破綻なく走り切るカギです。

あなたのケースは、どの逆算モデルに当てはまる?

家じまいくんは、12 問 5 分の無料診断で「売る・貸す・住む・壊す」の 4 選択肢を横並びでスコア化します。
立地・築年数・相続人の事情を加味し、期限ある税制特例の見落としもチェックします。

無料で診断を始める → 所要時間 約 5 分/登録不要/無料

よくある質問(FAQ)

Q1. 期限の起算日はいつですか?

ほとんどの期限は「自己のために相続の開始があったことを知った時」が起算日です(民法 915 条等)。死亡日と知った日が同じなら死亡日、海外勤務や疎遠で後から知った場合はその知った日が起算日です。証明資料(連絡を受けたメール・郵便等)を保管しておくと、後で起算日を主張する際に役立ちます。

Q2. 期限を 1 日でも過ぎたらアウトですか?

手続きごとに異なります。死亡届・健康保険・年金の期限超過は届出を遅滞理由とともに行えば受理されることが多いです。相続放棄 3 ヶ月は超過すると原則として単純承認とみなされますが、「相続財産の存在を知らなかった」等の事情がある場合は熟慮期間の起算点を後ろにずらす主張が認められる余地があります。相続登記 3 年は「正当な理由」があれば過料を回避できます。期限を過ぎたら、まず司法書士・弁護士に相談してください。

Q3. 13 個の期限のうち、最も金額インパクトが大きいのはどれですか?

3,000 万円特別控除の譲渡期限です。最大 3,000 万円 ×(相続人 1〜2 人の場合)の所得控除を失うと、譲渡所得税で数百万〜千万円単位の差が出ます。次にインパクトが大きいのは、相続税の小規模宅地等の特例(評価額最大 80% 減)の適用不可です。過料 10 万円や延滞税は痛いものの、特例失効の代償と比べると桁が違います。

Q4. 相続登記 3 年と 3,000 万円特別控除の譲渡期限(3 年強)は、どちらを優先すべきですか?

実家を 3 年以内に売却する場合は、登記→売却を 3 年以内にワンセットで動かすのが基本です。登記が完了していないと売却の所有権移転ができないため、結果的に 3,000 万円特別控除の譲渡期限を逃すリスクがあるからです。売らないと決めている場合は、相続登記 3 年(または相続人申告登記)だけ確実に守ってください。

Q5. 配偶者居住権 6 ヶ月と相続税 10 ヶ月、どちらが優先ですか?

別物なので両方守ります。配偶者短期居住権 6 ヶ月は「この期間は退去を求められない」という保障で、相続人が動く期限ではありません。相続税 10 ヶ月は申告・納付を行うべき期限です。配偶者が実家に住み続けるケースでは、6 ヶ月を超えて住み続けるための長期の配偶者居住権(民法 1028 条以下)を遺産分割協議で設定することも検討してください。

Q6. 遺言書の検認は「すみやか」とありますが、目安はどれくらいですか?

法律上は「相続の開始を知った後、遅滞なく」(民法 1004 条)としか規定されていませんが、実務上は 1〜2 ヶ月以内に検認申立てを行うのが目安です。検認申立てから検認期日までさらに 1〜2 ヶ月かかるので、相続放棄 3 ヶ月や準確定申告 4 ヶ月の判断材料を揃えるためには、遺言書を発見したら即座に動く必要があります。

Q7. 遺留分侵害額請求の 1 年と 10 年は何が違いますか?

1 年は短期消滅時効(相続の開始および遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から)、10 年は除斥期間(相続開始から)です。1 年の方は内容証明郵便等での意思表示で中断できますが、10 年は中断できず完全に権利が消滅します。遺言書の内容に疑問がある場合は、1 年以内に弁護士相談を行ってください。

Q8. 13 個の期限を全部覚えていられません。どうすればいいですか?

このページを A4 で印刷して冷蔵庫や仏壇まわりに貼っておくのが最も簡単な対策です。加えて、家じまいくんの無料診断を Day 7〜14 の早い段階で動かしておくと、期限ある税制特例の見落としを自動チェックします。

まとめ — 期限を一枚で俯瞰したら、次に動くべき手続きへ

相続の期限は、官公庁の窓口や専門家ごとに分散していて、全期間を一枚で俯瞰した一覧はなかなか見つかりません。本記事では、戸籍法・民法・所得税法・相続税法・不動産登記法など複数法令にまたがる13 個の期限を、起算日・根拠法・過ぎた場合のリスクとセットで並べました。

あらためて、相続発生から完了までの全期限 13 個を期限順に並べ直すと次のとおりです。

  1. 死亡届 7 日(戸籍法 86 条)
  2. 健康保険・年金停止 14 日(国民健康保険法/国民年金法)
  3. 預金凍結(死亡を知った時すぐ・実務慣習)
  4. 遺言書検認(すみやか・民法 1004 条)
  5. 相続放棄 3 ヶ月(民法 915 条)
  6. 準確定申告 4 ヶ月(所得税法 124・125 条)
  7. 配偶者居住権 6 ヶ月(民法 1037 条)
  8. 相続税申告 10 ヶ月(相続税法 27 条)
  9. 遺留分侵害額請求 1 年(民法 1048 条)
  10. 相続登記 3 年(不動産登記法 76 条の 2・10 万円過料)
  11. 3,000 万円特別控除の譲渡期限 3 年強(措置法 35 条 3 項)
  12. 取得費加算 3 年 10 ヶ月(措置法 39 条)
  13. 特別受益・寄与分 10 年(民法 904 条の 3)

13 個すべてを記憶する必要はありません。3 ヶ月・10 ヶ月・3 年の 3 つだけ覚えて、必要になったらこのページに戻ってきてください。それでも、3,000 万円特別控除の譲渡期限(数百万〜千万円規模)と相続税の特例適用(小規模宅地等の特例で評価額最大 80% 減)の 2 つは、見落とすと家計に与える打撃が大きいので、相続が発生した時点で必ず実家を相続したらまず何から?も併読いただくことをおすすめします。

関連記事:

関連ツール:

期限を一枚で把握したら、次は「実家どうする?」の方向性を

売る・貸す・住む・壊すの 4 選択肢を、12 問 5 分で横断比較。
あなたの実家の場合、どの選択肢が最も合っているのかをデータで提示します。

無料で診断を始める → 所要時間 約 5 分/登録不要/無料

実家を相続したら、まず「最初の地図」を

売る・貸す・住む・壊すの4選択肢を、12問5分で横断比較。
あなたの実家の場合、どの選択肢が最も合っているのかをデータで提示します。

無料で診断を始める →所要時間 約5分/登録不要/無料

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、 税務・法務・不動産取引に関する個別具体的な助言を行うものではありません。 個別のご事情に応じた判断は、税理士・司法書士・弁護士・宅地建物取引士等の有資格者にご相談ください。 また、法令・通達は本記事公開後に改正される可能性があります。最新情報は各官公庁のWebサイトをご確認ください。

← コラム一覧に戻る