親が亡くなったら 不動産は何から動く?30日・90日・1年で見る時系列フロー
親が亡くなったら実家・不動産は何からどう動く?葬儀直後にやってはいけない3つ(売却契約・賃貸契約・解体)から、30日(情報収集)・90日(4選択肢判断・相続放棄3か月)・1年(相続登記・相続税申告10か月・3,000万円特別控除3年)までを時系列フローで整理。民法915条・不動産登記法76条の2・措置法35条の一次情報で解説。
親が亡くなった直後、葬儀の段取りと並行して頭をよぎるのが「実家、これからどうすればいいんだろう」という不安です。誰かに「とりあえず売っちゃえば?」と言われても、勢いで動くと数百万円単位の損失につながりかねません。
不動産は、相続のなかでも最も金額が大きく・期限がきつく・取り返しがつかない領域です。直後に解体してしまうと3,000万円特別控除の要件を満たさなくなる可能性があり、勝手に売却契約を結ぶと相続放棄ができなくなる可能性があり、慌てて賃貸に出すと相続人全員の合意なき処分として後から揉める——どれも、最初の30日の動き方ひとつで結果が変わります。
この記事では、親が亡くなった直後から1年後までを、30日(情報収集)・90日(判断)・1年(実行)の3フェーズに分けて、不動産でやるべきことを時系列で整理しました。各手続きは民法・不動産登記法・相続税法・措置法35条等の一次情報を出典URL付きで示します。
本記事の対象 親(被相続人)が亡くなり、不動産(戸建て・マンション・土地)を相続する見込みのある方。 全相続手続きの全体像は 実家を相続したらまず何から? を、葬儀直後30日の全手続き網羅版は 葬儀から30日 実家じまい アクションプラン を併読してください。本記事は不動産に絞った時系列フローです。
【30秒結論】親が亡くなったら 不動産の動き方タイムライン
詳細に入る前に、不動産で動くべき期限を一枚で把握してください。
| フェーズ | 期間 | 不動産でやること | 法的根拠 |
|---|---|---|---|
| 直後 | Day 0〜7 | やってはいけない3つを止める(売却契約・賃貸契約・解体) | 民法921条(単純承認) |
| 情報収集 | Day 0〜30 | 登記簿謄本取得・固定資産税通知書確認・評価額把握 | 不動産登記法 |
| 判断 | Day 30〜90 | 相続放棄の判断・4選択肢(売る/貸す/住む/壊す)比較・遺産分割協議開始 | 民法915条(3か月) |
| 実行 | Day 90〜365 | 相続登記・相続税申告10か月・3,000万円特別控除3年期限の把握 | 不動産登記法76条の2/相続税法27条/措置法35条 |
| 運用・処分 | 1年超 | 売却・賃貸・自己居住・解体の実行と、特定空家リスクの管理 | 空家等対策の推進に関する特別措置法 |
ここから、各フェーズを順に解説します。
直後【Day 0〜7】親が亡くなったら 不動産で「やってはいけない」3つのこと
葬儀の前後は、判断力が落ちる時期です。この期間にやってはいけないことから先に押さえてください。3つとも、後で取り返しがつかなくなるリスクがあります。
1. 不動産の売却契約を結ぶ
葬儀の場で親戚や知人から「いい不動産屋を知ってる」「すぐ売った方がいい」と言われても、この時点で売却契約を結ぶのは止めてください。
理由は2つあります。
- 単純承認とみなされるリスク:相続財産を一部でも処分すると「単純承認」と扱われ、後で相続放棄ができなくなる可能性があります(民法921条)。借金や連帯保証が後から判明したとき、放棄の選択肢を失います。
- 相続登記が済んでいない状態では売れない:所有権が亡くなった親の名義のままだと、買主への所有権移転登記ができません。先に相続登記(後述)を済ませる必要があり、戸籍収集だけで1〜2か月かかります。
2. 賃貸契約を結ぶ
「空けておくのはもったいない」と急いで賃貸に出すのも、Day 0〜7では止めてください。
- 賃貸契約も処分行為にあたる可能性があり、単純承認とみなされるリスクがあります
- 相続人が複数いる場合、全員の合意なく賃貸に出すと後から異議が出ます(共有名義の運用は共有名義のリスクを参照)
- 借家人が入った後に「売る・住む・壊す」の選択肢に切り替えにくくなります
3. 解体(取り壊し)の発注
「古くて危ないし、固定資産税の通知も来てるし」と解体業者に発注するのも、Day 0〜7では止めてください。3,000万円特別控除を失う最大の落とし穴です。
- 措置法35条の被相続人の居住用財産(空き家)特別控除は、家屋を相続人が耐震基準を満たした上で譲渡するか、家屋を取り壊して譲渡するのいずれかが条件です。要件は厳格で、誤った順序で動くと数百万円の控除が消えます
- 解体すると更地となり、住宅用地の特例から外れて固定資産税が最大6倍になる可能性があります([地方税法]・固定資産税が6倍になる条件)
- 解体費用は実家じまい費用相場のとおり、木造30坪で100〜200万円が目安。動く前に4選択肢の比較が必須です
Day 0〜7にやるべきことは「動かないこと」
不動産については、Day 0〜7は動かないのが正解です。葬儀・死亡届・健康保険・年金停止など、不動産以外の必須手続き(葬儀から30日アクションプラン)に集中してください。
情報収集フェーズ【Day 0〜30】不動産の現状を「数字で」把握する
葬儀から1〜2週間が過ぎたら、実家の不動産情報を数字で押さえる作業に入ります。判断(90日フェーズ)で4選択肢を比較するためには、まず正しい数値が必要です。
やること1:登記簿謄本(登記事項証明書)の取得
最初に取り寄せるのが登記簿謄本です。所有者・面積・抵当権の有無がここで確定します。
- どこで:法務局の窓口・郵送・登記・供託オンライン申請システム
- 費用:書面交付600円/オンライン交付480〜500円
- 必要なもの:物件の所在地(住居表示ではなく地番)・家屋番号
- 誰でも取れる:所有者でなくても請求可能(不動産登記法119条)
確認すべきポイントは次の3つです。
- 所有者欄:親(被相続人)単独名義か、配偶者・兄弟との共有名義か
- 甲区(所有権に関する事項):差押え・仮処分が入っていないか
- 乙区(所有権以外の権利):抵当権が残っていないか(住宅ローン未完済の場合は住宅ローン付きの相続参照)
やること2:固定資産税納税通知書の確認
毎年4〜5月に市区町村から送られてくる固定資産税納税通知書を探してください。これに、物件の評価額・税額・特例適用の有無が記載されています。
- 見つからない場合:市区町村役場の資産税課で「名寄帳(なよせちょう)」を請求すると、その自治体内で親が所有していた全不動産が一覧で出てきます(手数料数百円)
- 複数の自治体に物件がある場合:自治体ごとに名寄帳を取る必要があります
- チェックポイント:「住宅用地の特例」が適用されているか/特定空家等として課税標準特例から除外されていないか(空き家のまま放置すると特定空家指定で6倍課税のリスク)
やること3:相続税評価額と市場価格の把握
判断フェーズで「売る・貸す・住む・壊す」を比較するには、不動産の金額の感覚が必要です。次の3つの数字を押さえてください。
| 数字 | 用途 | 取得方法 |
|---|---|---|
| 固定資産税評価額 | 登記費用・贈与税計算 | 固定資産税通知書/名寄帳 |
| 相続税評価額(路線価方式) | 相続税申告 | 国税庁 路線価図 |
| 市場価格(実勢価格) | 売却シミュレーション | 国交省 不動産情報ライブラリ |
この3つは金額が全く違うので、混同しないでください。一般に「実勢 > 相続税評価 > 固定資産税評価」の順で、相続税評価は実勢の7〜8割、固定資産税評価は実勢の6〜7割が目安です。
やること4:相続人と遺言書の確認
ここまでは「物」の情報収集ですが、人の情報も並行して進めます。
- 相続人の確定:被相続人の出生から死亡までの戸籍を集める。本籍地を複数移動している場合は3週間〜2か月かかることもある
- 法定相続情報一覧図の作成:法定相続情報証明制度を使えば、後の銀行・登記・税申告で何度も戸籍を提出する手間が省けます
- 遺言書の有無確認:自筆証書遺言を見つけても検認前に開封しない(5万円以下の過料・民法1005条)。詳細は葬儀から30日アクションプランで
Day 30 のチェックポイント
Day 30 時点で、次の4点が揃っているか確認してください。
- 登記簿謄本を取得し、所有者・抵当権・差押え有無を確認した
- 固定資産税通知書または名寄帳で、対象不動産を全て把握した
- 相続税評価額(路線価)と市場価格の概算を出した
- 法定相続人を戸籍で確定した
ここまでが情報収集フェーズです。数字が揃ったら、判断フェーズへ進みます。
判断フェーズ【Day 30〜90】相続放棄と4選択肢を「決める」
葬儀から1か月が過ぎ、Day 30 を迎える頃には、不動産の数字が手元にあるはずです。ここからは判断のフェーズです。最大の期限は相続放棄3か月(民法915条)なので、Day 90 までに方向性を固める必要があります。
判断1:相続放棄をするかしないか(民法915条・3か月以内)
最初の判断は、相続そのものをするかしないかです。
- 期限:自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(民法915条)
- 提出先:被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
- 手続き:「相続放棄の申述」(裁判所案内)
- 費用:収入印紙800円+郵券(数千円)
不動産がある場合、相続放棄を検討すべきケース
- 借金・連帯保証が多い:実家の市場価格を上回る負債がある
- 不動産に重大な瑕疵がある:再建築不可、土壌汚染、傾斜地、共有名義のトラブル
- 遠方で管理できず、固定資産税だけが永続的にかかる
- 特定空家指定のリスクが高い:すでに著しく傷んでいる、近隣からの苦情がある
放棄の判断軸の詳細は相続放棄の判断基準と落とし穴で整理しています。
単純承認とみなされる行為に注意
Day 0〜7の「やってはいけない3つ」と同じです。相続放棄を検討しているうちは、家財の片付け・預金の引き出し・賃貸契約・解体発注は止めてください(民法921条)。
放棄しても管理義務が残る場合
2023年4月施行の民法940条改正で管理義務は限定されましたが、現に占有している場合は、次の相続人または相続財産清算人に引き渡すまで保存義務が残ります(放棄後の管理義務)。
判断2:4選択肢(売る・貸す・住む・壊す)の比較
相続を承認する方向で進める場合、次に決めるのが実家をどうするかです。選択肢は大きく4つ。
| 選択肢 | 向くケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 売る | 遠方・誰も住まない・現金化したい | 3,000万円特別控除は3年以内が条件・更地化で固定資産税6倍リスク |
| 貸す | 立地が良い・修繕してでも回したい | 修繕費・空室リスク・退去時の原状回復・賃貸後は売却しづらい |
| 住む | 近隣・配偶者の生家・小規模宅地等の特例で80%減 | 固定資産税・修繕費・将来の再相続を見据えた継承計画 |
| 壊す | 再建築不可・特定空家リスク高 | 解体費100〜200万・住宅用地特例消失で固定資産税最大6倍 |
詳細な比較軸と判定フローは実家4択判断ガイドに整理しています。判断には少なくとも次の数字が必要です。
- 売却した場合の手残り(市場価格 − 仲介手数料 − 譲渡所得税)
- 貸した場合の年間収支(家賃 − 管理費 − 固定資産税 − 修繕積立)
- 住んだ場合の年間維持費(固定資産税 − 小規模宅地等特例による相続税減 − 修繕費)
- 壊した場合の費用と更地後の用途(売る or 駐車場運用 or 太陽光など)
家じまいくんの無料診断を使うと、12問5分の入力で4選択肢を横並びでスコア化し、期限ある税制特例の見落としもチェックできます。
判断3:遺産分割協議の開始
相続人が複数いる場合、誰が不動産を相続するかを決める必要があります。これが遺産分割協議です。
- 全員の合意が必須:1人でも反対すれば成立しない
- 書面化(遺産分割協議書)が原則:相続登記・金融機関手続きで必要
- 兄弟間のトラブルが起きやすい:価値観・経済状況・親との距離感の違いが噴出(兄弟相続トラブル)
協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停に進みます。調停成立まで半年〜1年かかることもあるので、Day 30〜90 のうちに誰が・どの不動産を・どう取得するかの方向性を早めに話し合ってください。
Day 90 のチェックポイント
- 相続放棄の方向性を固めた(する/しない)
- 4選択肢(売る・貸す・住む・壊す)の方向性を絞り込んだ
- 遺産分割協議が開始されている(または開始の合意ができている)
ここまでが判断フェーズです。方向性が決まったら、実行フェーズへ進みます。
実行フェーズ【Day 90〜365】相続登記・相続税申告・特別控除期限を「処理する」
判断が決まったら、次は実行のフェーズです。3つの大きな期限が控えています。
期限1:相続税の申告・納付(10か月以内・相続税法27条)
最初に来るのが、相続税申告10か月の期限です。
- 期限:相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内
- 対象:基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合
- 出典:国税庁 タックスアンサー No.4205
不動産がある場合、小規模宅地等の特例(国税庁 No.4124)で居住用宅地の評価額が最大80%減になる可能性があります。適用要件は判定が複雑で、相続人の住み方・生計同一性・申告期限内の事情で結果が大きく変わるので、Day 90 までに税理士へ初回相談しておくことを強く推奨します。
10か月を過ぎると加算税・延滞税が課されます。期限を1日でも過ぎると、本来納める税額に対して年14.6%相当の延滞税が追加されることもあるので、早めの動きが必須です。
期限2:相続登記(3年以内・不動産登記法76条の2)
2024年4月1日から、相続登記が法律上の義務になりました(法務省「相続登記の申請が義務化されました」)。
- 期限:不動産を取得したことを知った日から3年以内
- 遡及適用:施行日(2024年4月1日)より前に発生した相続にも適用。経過措置として、施行日または取得を知った日のいずれか遅い日から3年以内
- 正当な理由なく怠った場合:10万円以下の過料(不動産登記法76条の2)
詳細は相続登記義務化と3年期限・自分でできる相続登記 完全ガイドを参照してください。
相続登記に必要な書類
戸籍収集・遺産分割協議書・固定資産評価証明書・登記申請書など、揃えるべき書類は10種類前後あります。司法書士に依頼すると6〜10万円、自分でやれば実費(登録免許税0.4%+数千円)で済みます。
売却・賃貸の前提条件
不動産を売る・貸すには、相続登記が完了していることが前提です。Day 90 で「売る」方向に固めたなら、Day 180 までに相続登記を終わらせるのが現実的なスケジュールです。
期限3:3,000万円特別控除の3年ルール(措置法35条)
売却を選ぶ場合、絶対に押さえておくべきが被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除です。
- 期限:相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(措置法35条)
- 控除額:譲渡所得から最大3,000万円控除
- 出典:国税庁 タックスアンサー No.3306
要件は厳格です。詳細は3,000万円特別控除の要件で整理していますが、特に重要なのが次の2点。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること:新耐震基準(1981年6月1日以降)の建物は対象外
- 相続開始直前に被相続人が居住していたこと:老人ホーム入所などの例外規定あり
- 譲渡時に耐震基準適合 or 取り壊し:このどちらかが必須(順序を誤ると失効)
3年は意外と短く、戸籍収集・遺産分割協議・相続登記・買主との交渉だけで1〜2年消費します。Day 90 で売却方向に固めたら、特別控除の3年カウントダウンを意識して動いてください。
期限4:準確定申告(4か月以内)
不動産関連では直接の期限ではありませんが、被相続人が不動産所得(家賃収入)を得ていた場合は、準確定申告(国税庁 No.2022)が必要です。
- 期限:相続開始を知った日の翌日から4か月以内
- 対象:事業所得・不動産所得・年金所得(公的年金等400万円超)・給与所得(2000万円超)等
Day 365 のチェックポイント
- 相続税申告(10か月)を済ませた、または不要であることを確認した
- 相続登記の必要書類が揃い、申請に動いている
- 売却を選ぶ場合、3,000万円特別控除の3年期限を意識したスケジュールを引いた
運用・処分フェーズ【1年超】特定空家リスクと中長期管理
1年を過ぎても、判断が決まらない・売れない・空き家のままというケースは多くあります。この段階で気をつけるべきは特定空家リスクです。
特定空家に指定されると固定資産税が最大6倍
空家等対策の推進に関する特別措置法により、市区町村は危険な空き家を「特定空家」「管理不全空家」に指定できます。指定されると、住宅用地の特例から除外され、固定資産税が最大6倍に跳ね上がります(特定空家指定の回避・固定資産税が6倍になる条件)。
共有名義のまま放置するリスク
兄弟で共有名義のまま放置していると、次世代の相続でさらに権利者が増え、売却にも改修にも全員の合意が必要になります。共有名義のリスクと解消法は共有名義のリスクを参照してください。
0円で手放す選択肢
売れない・貸せない・特定空家リスクが高いケースでは、0円譲渡・寄付・国庫帰属などの選択肢もあります(実家を0円で手放す)。2023年4月施行の相続土地国庫帰属制度では、一定要件を満たせば土地を国に引き渡すことができます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 親が亡くなった直後、不動産でまず何をすべきですか?
何もしないことが最優先です。葬儀直後の判断力が落ちている時期に、売却契約・賃貸契約・解体発注をすると、単純承認とみなされて相続放棄ができなくなる可能性があります(民法921条)。Day 0〜7は、葬儀・死亡届・健康保険・年金停止など、不動産以外の必須手続きに集中してください。
Q2. 葬儀から1か月以内に、不動産でやっておくべきことは?
情報収集です。①登記簿謄本の取得、②固定資産税納税通知書または名寄帳の確認、③相続税評価額(路線価)と市場価格の概算、④相続人の戸籍収集と法定相続情報一覧図の作成、までを30日以内に終わらせると、その後の判断と実行がスムーズです。
Q3. 親の家を解体するのはいつタイミングで決めればいいですか?
最低でも90日(相続放棄期限の3か月)を過ぎてから、かつ4選択肢の比較を終えてからです。解体すると更地となり、住宅用地の特例から外れて固定資産税が最大6倍になる可能性があります。さらに、3,000万円特別控除(措置法35条)を使う場合は譲渡前の取り壊しに要件があるため、順序を誤ると数百万円の控除が消えます。
Q4. 相続登記はいつまでにやればいいですか?
2024年4月から義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内が期限です(不動産登記法76条の2)。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。実務上、売却・賃貸の前提条件として相続登記の完了が必須なので、Day 90 で売却方向に固めたら、Day 180 までに登記を終わらせるのが現実的です。
Q5. 相続税は不動産にどうかかりますか?
不動産は相続税の課税対象財産です。評価額は土地が路線価方式(実勢の7〜8割)、建物が固定資産税評価額となります。基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続開始から10か月以内の申告・納付が必要です(相続税法27条)。居住用宅地は小規模宅地等の特例で最大80%減になる可能性があります。
Q6. 3,000万円特別控除の期限を過ぎたらどうなりますか?
控除が使えなくなり、譲渡所得に対してそのまま課税されます。たとえば3,000万円の譲渡益があれば、長期譲渡所得税率20.315%として約609万円の税負担増になる可能性があります。期限は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(措置法35条)と意外と短いので、売却方向に固めたら早めにスケジュールを引いてください。
Q7. 兄弟で意見が割れて遺産分割がまとまりません。どうすればいいですか?
まず話し合い、まとまらなければ家庭裁判所の遺産分割調停を申し立てます。調停成立まで半年〜1年かかることもあるので、相続税申告10か月の期限が迫る場合は「未分割」で一旦申告し、後で更正の請求をする方法もあります。詳細は兄弟相続トラブルで整理しています。
Q8. 不動産以外の財産も含めて、全体の手続きを知りたい場合は?
実家を相続したらまず何から?で9手続きを期限順に整理しています。また、葬儀直後30日の全手続き網羅版は葬儀から30日 実家じまい アクションプランを参照してください。本記事は不動産に絞った時系列フローです。
Q9. 親が亡くなる前にできる準備はありますか?
あります。元気なうちに4選択肢(売る・貸す・住む・壊す)の方向性を家族で話し合い、登記簿・固定資産税通知書・遺言書の所在を共有しておくと、相続発生時に動きが格段に早くなります。認知症が始まる前の準備の重要性は認知症前の相続準備で解説しています。
Q10. 家じまいくんはこのフローのどこで使えますか?
Day 14〜90 のあたりが最も有効です。情報収集フェーズで数字が揃い始めた段階で、12問5分の無料診断を回すと、4選択肢の手残りレンジと期限アラートが横並びで出ます。判断フェーズでの兄弟会議・税理士相談・司法書士相談の前に叩き台を作るのに使ってください。
まとめ — 親が亡くなったら 不動産は「30日・90日・1年」で動く
親が亡くなった後の不動産は、スピードと慎重さの両方が必要です。直後に動きすぎると単純承認や控除消失のリスク、動かなさすぎると過料や特定空家指定のリスク——どちらも数百万円規模の損失になり得ます。
あらためて、本記事の時系列フローを並べ直すと次のとおりです。
- Day 0〜7:売却契約・賃貸契約・解体の3つを止める(民法921条)
- Day 0〜30:登記簿謄本・固定資産税通知書・評価額・相続人の確定
- Day 30〜90:相続放棄判断(民法915条)・4選択肢比較・遺産分割協議
- Day 90〜365:相続税申告10か月・相続登記(2024年義務化)・3,000万円特別控除3年期限
- 1年超:特定空家リスクと共有名義リスクの中長期管理
期限を1つでも見落とすと、後で取り返すコストが大きくなります。本記事の時系列フローをご家族の手元に置きながら動いてください。
「業者に査定を頼む前に、まず4選択肢を横並びで比較したい」 「親が亡くなったばかりで、何から動けばいいか整理したい」
そんな方は、家じまいくんの無料診断をお試しください。立地・築年数・相続人の事情を入力いただければ、5分で4選択肢の手残りレンジと期限アラートをご提示します。Day 14〜90 のあいだに一度動かしておくと、その後の家族会議や専門家相談がぐっと進みます。
親が亡くなったら 不動産の動き方を5分で整理
家じまいくんは、12問5分の無料診断で「売る・貸す・住む・壊す」の4選択肢を横並びでスコア化します。
立地・築年数・相続人の事情を加味し、相続放棄3か月・相続登記3年・3,000万円特別控除3年期限の見落としもチェックします。
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実家を相続したら、まず「最初の地図」を
売る・貸す・住む・壊すの4選択肢を、12問5分で横断比較。
あなたの実家の場合、どの選択肢が最も合っているのかをデータで提示します。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、 税務・法務・不動産取引に関する個別具体的な助言を行うものではありません。 個別のご事情に応じた判断は、税理士・司法書士・弁護士・宅地建物取引士等の有資格者にご相談ください。 また、法令・通達は本記事公開後に改正される可能性があります。最新情報は各官公庁のWebサイトをご確認ください。
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